命題29
ラス前に順位を1つでも上げておけば最終的な着順に非常に大きな影響を与えることは確かですが、表からも分かる通り、0点、2000点、4000点差では勝率にかなり差があります。
アガって2000点差以内のトップになる点数状況なら、多くの場合は+1翻でアガれば4000点差以上つけることができます。つまり、ダマでもアガればオーラストップ目に立てる先制テンパイが入った場合も、大抵の場合はダマにするよりはリーチした方がよいということになります。
アガリにさほど近い段階でない場合の手作りに関しても、多少受け入れを狭めたところでアガリ率はあまり落ちないので、アガった時に点差に余裕ができるような受け入れを残すのが有利になりやすいと言えます。
本書207頁もケースもホンイツ狙い有利とみます。こうしてみると、ラス前微差でトップ争いをしている時も、手作りの基準は東1局原点と大差ないことが分かります。もちろん元々微差の判断をする際はアガリ率重視に傾くこともありますが、ギリギリで逆転できる手にするよりは、多少アガリ率を落としてでも点差をつけるように打つべきであると言えます。
命題30
「南2局までは局収支通り打つ」は、「科学する麻雀」が出拠ですが、点数状況判断に限らず、リーチ判断や押し引き判断についても、あくまで大まかな目安が示されていたに過ぎない(当時としてはそれでも極めて画期的だった)ことに注意する必要があります。
研究が進むにつれて局収支面で微妙なケースについても一定の基準を示すことが出来るようになったので、そういった場合は南2以前であっても判断が変わり得るということが分かってきました。
南場だったら打◯、天鳳ルールの何段配分なら打△といった意見は数多く見受けられますが、結論が出せるとすれば微差ではないだろうというレベルの問題でさえ、実力者間であっても意見が分かれることは珍しくありません。打牌判断が変わるルール、点数状況上の分岐点を正確に見積もれる打ち手は皆無でしょう。
しかし、「分からないなら局収支通り」打つという選択は少なくとも最善とは言えませんし、「局収支通りに判断できない」ことが明確なケースを見落としてしまうことは、「局収支通り」に打てばいい局面で多少外れた選択をするよりも大きく損することが多いものです。
局収支通りに判断できないケースはその局面に応じた判断をすることは当然として、「局収支通りに判断してよいか微妙、あるいは局収支で判断しても優劣が微妙」なケースでは、現状は結論が出せないとしてもそのことを意識したうえで打牌選択をされることをお勧めします。結果的には損な選択をしてしまうこともあると思いますが、実戦で少しでも有利な打牌選択をしようと思考を巡らす経験を重ねることは確実に力になります
本記事に関するご紹介
平澤 元気 (著)
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