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ネマタの戦術本レビュー第54回「強者の最新手筋100 著:比嘉秀仁 その2」

ネマタの戦術本レビュー第54回「強者の最新手筋100 著:比嘉秀仁 その2」

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第1章 押し引き

6 打

 良形テンパイで、比較的通りやすい牌まで止めて降りるのは、それこそ放銃以外で順位が落ちることが稀な場合くらいでしょう。「押すべき手牌で危険牌を切って放銃」と、「放銃率自体は低いが、押すには見合わない手牌から放銃」では勿論前者の方が正着ですが、前者の方が出現率も高く印象に残りやすいもの。「放銃したからミスだったかもしれない」と考え始めると押し引き基準がずれてしまいがち。「うまくいったけれども、よりよい選択は無かったか」を検討する方が有意義です。

7 打

 北家は点数状況的に、役有りならダマにするところですが、一発放銃となると満貫で着順落ちの可能性もあります。

 この可能性より降りて親に逆転される可能性の方が高ければ押すことになりますが、親は手出しでトイツを落とした直後でテンパイ率は低い上に、ドラの見え方から連荘不要の捲り手になっている可能性も低い、親が続行しそうになったらその時改めて差し込みにいく選択もある以上、どちらも低確率とはいえ、ここで放銃して着順落ちする可能性の方が高いでしょうか。

 具体的に何%というような数字を知る必要はありませんが、どちらの選択が影響を与える頻度が高いかを見積もることが、特にオーラスの押し引き判断では重要になります。

8 打

 メンゼンツモの1翻があるので、放銃した時とツモられた時に縮まる点差は、リーチして4翻、6翻といった手でなければ実は大差ありません(自分が親なら、ツモられた方が縮まる点差が大きい場合も多い)。

 今回はドラを多く持っているのでなおのこと放銃のリスクは低い。これが、オーラスが近いトップ目でもテンパイしていれば結構押せる理由の1つです。ただし、親かぶりを除き、ツモられた場合は着順落ちは1つまでですが、放銃の場合は2、3と着順落ちするケースもあることには注意が必要です。

 単に、トップ目だから、ラス目だからではなく、全員の持ち点の分布次第で判断が変わることも多いということは、天鳳ルールでは特に意識しておきたいところです。

9 打ダマ

 上家がの後付けだとしたらアガリ牌残り1枚から押したことになりますし、下家がチートイツなら、待ちとして強いより先に切っていることになるので、の放銃率自体は高くないとみます。

 ただ、押している他家からは東も発も出やすさは同じ。それならトップ目で放銃のリスクを余計に追う程でもないとみて単騎に受けます。すぐに降りる手ではないですが、天鳳ルールでトップ目、ダマでも高打点、アガリ牌残り2枚となると、リーチ棒の出費や多少アガリ率が落ちるデメリットの方が上回るでしょうか。

 これが打としてリーチしてきたのが上家であれば、リスクを追ってでも打とすることは多そうです。

 もし下家かトイメンが、東だけ浮いていて他に現物が無いのであれば、発が通りさえすればこれほどアガリやすい待ちもありません。同じ現張りであっても、「今すぐの降り打ちがどの程度期待できるか」によって、現張りに受けるかどうか、あるいはリーチするかどうかは結構変わるのではないでしょうか。

10 打

 今度はラス前で、ドラで放銃してラス落ちがある一方、降りてトップ維持もある。マンズは通るのでの危険度もまずまず高いと悪い条件が結構揃っているので、リャンメンテンパイとはいえ天鳳ルールなら降りるところとみます。

 天鳳ルールであっても、リスクは大きいがリターンも大きい、リターンは小さいがリスクもいうほど大きくないといった例では、良形テンパイからは簡単には降り有利にはならない。

 リターンが小さくリスクが特に大きい場合に、ようやく考慮するくらいでも案外事足りるということがここまでの問題からも見て取れるのではないでしょうか。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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