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ネマタの戦術本レビュー第174回「フリー麻雀で食う 上級雀ゴロゼミ 著:雀ゴロK その24」

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三限目 講座6

 「現麻本」では、ドラを切った場合の放銃打点は非ドラの場合の約1.5倍、放銃率は約3%増加。元々当たりにくい待ちの方がドラであることによる危険度の増加が大きいと書きましたが、これは元々使われにくい牌ほど、ドラだからという理由で残されることが多く、放銃した場合はシャボや単騎といったドラが固まっている手であることが多くなるためです。

 そのため一般論としては、一見通りそうでもドラとなると安易に切れないことが多くなりますが、これも河によって判断が変わることが多いです。今回はドラで、リーチの前に切られた牌は以外全て字牌と情報が少なく、ドラそばのより後まで残るのは至って自然なので、シャボや単騎の待ちのパターンが多くなるとは考えられません。

 なら打とされることからカンチャン待ちも無いことから、この場合のドラは放銃した時こそ高打点確定ですが、放銃率自体はむしろ通常のスジ2378牌よりも低いと言えます。それならテンパイさえすれば悪形でも赤1あるので十分押せることから、仮に降りるのが容易な手であったとしても切りがよさそうです。

 今回のように河の情報が少なく、面子候補を選んだ形跡がないリーチに関しては、ドラで振った時の打点こそ高くなるとはいえ、放銃率自体はドラでない場合と大差ありません。子のリーチの出アガリの平均点が約5200点ですから1.5倍でも約7800点。

 よって2600点×(ドラで放銃する確率)だけ収支で劣りますが、元々押し有利な手は降りに比べて収支期待値が+500点以上であり、ドラだからといって情報の少ない河で放銃率が20%もあることはないですから、ドラだからという理由で押すべき手を降りることはないでしょう。

 逆に言えば、ドラだからといって大して危険にならないケースを含んだうえで、全体でみた場合の放銃率が約3%増加するのですから、河の情報が多く待ち牌が絞れるケースであればなおのことドラ待ちのケースも増えるということになります。

 待ちが絞れるということは他に通っている牌が多いということなので、ドラを止めつつドラにくっつけての回し打ちも狙いやすく、うまくあがれた場合は更に打点が高くなるのですから、ベタ降りするくらいならまだ押した方がよいとしても、ドラだから止めるという判断も十分に考えられます。

 単にスジやノーチャンスだから通りやすい、ドラだから危険というだけではなく、当たり得る組み合わせを考慮したうえで押し引き判断に反映させたいところです。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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