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ネマタの戦術本レビュー第179回「フリー麻雀で食う 上級雀ゴロゼミ 著:雀ゴロK その29」

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三限目 講座12

 引き続き、テンパイからでも押さないケースです。「現麻本」「天鳳本」の押し引き基準上では、テンパイなら多くのケースで押しとしましたが、これは引いた場合はベタ降りしてアガリ、テンパイの可能性は無いことを前提にしているのも要因として大きいです。明確に押し有利であるならともかく、微妙〜やや押し有利程度であれば、実戦では安牌を切りつつアガリ、テンパイを目指す回し打ちが可能であればその方がよいことも多いです。

 回し打ちに関しては、四限目でも改めて扱われていますがシャンテン変わらずの鳴きが多用されます。リーチ、あるいはテンパイの可能性が高いフーロに対して通っていない浮き牌を面子候補に、あるいは通っていない面子候補を面子にして別の通っている牌を切る事ことで安全牌を切りつつアガリ、テンパイを目指すという狙いです。今回は浮き牌を面子候補にする鳴き(「現麻本」では食いちぎりと表現いたしました)です。

 回し打ちをしても実際にアガリ、テンパイに結びつくことは多くなく、結びついても大きな収入になることも少ないので地味な技術ですが、知らないとなかなか打てない手筋であり、利用頻度も高いのでそれなりには重要です。特に降りる時にすぐベタ降りしようとする人、あるいはテンパイだからといって押し過ぎてしまう人は、更なる実力向上のために是非とも実戦で活用できるようになりたいところです。

講座13

 今回は面子候補を面子にして別の通っている面子候補を鳴きです。親でテンパイであればのみ手悪形であっても鳴き手には押す事が多いですが、注意すべきなのは鳴き手の打点と待ちの絞りやすさです。

 まず打点について、今回は鳴きだけで3翻以上が確定していて、他に見えていないドラがいずれも使えるクイタン手なので満貫になっていることも珍しくありません。子のリーチへの放銃平均点(非一発)は約5200点なので、3900か8000のこの手もリーチと同程度には打点があると言えます。

 次に待ちの絞りやすさ。鳴き手はノーテンの可能性もあるとはいえ、テンパイしていた場合に通っていない牌で放銃する可能性は、リーチに無筋を切る以上に高いことが珍しくありません。鳴き手役や鳴きの手順、ツモ切り手出しによってリーチ以上に待ちが特定しやすいためです。今回はをチーして打と入り目がで確定しているので、が面子候補の一部であるならを切って残ったマンズの面子候補がそのまま待ちになります。

 そうするとここで鳴いてを切るのは、リーチに無筋を切る以上にリスクが大きい選択とまで言えそうです。少なくとも明確に押し有利とは言えず。を切らずにアガリ、テンパイに持ち込む選択がある以上、ここでは回し打ちがよいでしょう。

講座14

 判断、鳴き方ともに講座13とほぼ同じですね。話は戻りますが講座10、11も同様の回し打ちの手筋が使えます。テンパイ以前に場に安い牌を残すことは二限目でも取り上げられていましたが、押し引きの段階で回し打ちしやすい形が残りやすいのもメリットの一つです。手作りと押し引きは個別の独立した技術ではなく、互いに関連し合っていることがここからも言えます。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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