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ネマタの戦術本レビュー第361回「「統計学」のマージャン戦術 著:みーにん その1」

ネマタの戦術本レビュー第361回「「統計学」のマージャン戦術 著:みーにん その1」

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 麻雀の一局の結果は和了、放銃、被ツモ、横移動、流局の5通りであり、いずれの結果も得点の収支期待値で表すことができます。「期待値が全てでない」と言う言葉を時たま見かけますが、麻雀もサイコロ勝負同様、期待値こそ全てです。麻雀がサイコロと違うのは、結果が起こる確率と、起きたときの収支を打ち手の技術によってある程度コントロールできるということです。
 「期待値こそ全て」と言うと、期待値さえ分かればいいのだから簡単というイメージを持たれる方がいらっしゃるかもしれませんが、麻雀における期待値を正しく見積もることは、サイコロ勝負と比べれば遥かに難しいです。
 逆に期待値という言葉が出てくると、実戦中に厳密な計算をしているようなイメージを持たれて、自分にはとても無理と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし本書にありますように、局収支の「大小」さえ分かれば有利な打牌を選べます。
 統計やシミュレーションによるデータは、期待値を見積もるための手段の一つであり、万能ではありません。時にはその場に応じた選択を求められることもあるでしょう。しかしながら、その為にも土台となるデータは必要です。また、人間の直感や経験則は、こと確率関連に関しては特にあてになりません。一部実力者の中で、一時期は平和のみはダマといった誤った戦術論が主流だったのもそのことを証明していると言えるのではないでしょうか。

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 打点上昇効率の高い手に関しては、古い戦術書でもほぼリーチを推奨していますが、それでもこの手のダマが時折見られるのは、ツイてないから普段と違う選択をして展開を変えたいといった流れ論的発想。あるいは複数の選択肢があると、何となくバランスを取って別の選択も試したくなるという心理から来るものなのかもしれません。
 打点上昇効率のあまり高くない手であっても、リャンメン待ちなら案外リーチ有利な領域が広いことを意外に思った方も多いかもしれません。このあたりは、確実に加点したいと考える人間心理が、利得局面で必要以上に安定性を求めてしまうということで説明できそうです。
 もちろん、局収支の大小が結果にあまり関係しない局面になるとダマにするケースも増えます。アガリさえすればよい局面でもリーチという選択自体は、初心者や、勝ち負けより楽しさを重視する打ち手にありがちなので、冷静にダマテンにできる打ち手こそ上級者というイメージが根強かったというのも、リーチの優位性が気付かれにくかった理由の一つかもしれません。

本記事に関するご紹介

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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