- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第2章 分析19
『おしえて!科学する麻雀』では「mj4」のデータが取り上げられていますが、その中で紹介されている鳴き型の強者はフーロ率33%程度、門前型の強者は26%でした。一方、天鳳鳳凰卓ではフーロ率平均が35%を超えています。いかに天鳳が仕掛けの多いフィールドであるかが分かります。
仕掛けるべきかどうかという問題は、案外どちらでも大差ないというものが多く、どちらが有利かを厳密に検証するのも現時点ではかなり難しい問題です。よってどちらが優れていると決めつけるよりは、まずは自分にとって打ちやすい型を選び、そのうえで自分と異なるタイプの強者の打ち筋を参考にされることをお勧めします。かくいう私は『おしえて!科学する麻雀』発売時点でフーロ率40%超え、いわば超鳴き型でしたが、最近は35%を下回りつつあります。
門前守備型の打ち手によく見られる打法に「5ブロック揃っていて先手を取るのが難しそうなら優先的に安牌を抱える」というものがあります。本書でも指摘されているように、先手を取るのが難しいなら、安牌を残すことで後手を引いた場合に降りやすく、なおかつ押し返せるケースも増やすという狙いです。
145ページは5ブロック揃ってタンヤオもありますが中盤で1メンツも無い牌姿。典型的な安牌を抱えつつ手を進めるためにを先切りするケースと言えます。
147ページはペンチャンを落とすとブロック不足になりますが、できれば使い切りたいドラを実質ブロックとみなせばペンチャンを外してもさほどロスではないとも言えます。どこを5ブロックとみて手作りをするかの見切りが早いのも門前守備型の特徴と言えます。
もちろん、どの程度安牌を残すべきかについてはまだ結論の出ないところです。149ページのような悪形固定となると「やり過ぎ」の部類かもしれません。少なくとも分析1で取り上げられたような、目一杯に受けるメリットを把握できていない段階で取り入れることはお勧めしません。逆に言えば、その段階に到達できている打ち手であれば、どの程度まで安牌を抱えてスリムに受けるべきかを、実戦を通して検証してみるのも実力向上のうえで有効と思います。
5ブロックの決め打ちだけでなく、151ページのように手役の決め打ちも門前守備型によくみられる傾向があります。これも単なる安め拒否ではなく、よりよい受け(今回の場合はチートイツテンパイ時の待ちの強さ)優先と考えれば十分有力な選択です。特にチートイツはメンツ手の手作りとは異なる技術が必要なので押さえておきたいところです。
現代麻雀の神ワザ
本書は日本最大のネット麻雀サイト「天鳳」における鳳南(鳳凰卓の東南戦)で、麻雀強者の牌譜を見続けてきた「鳳南研究所」による書き下ろしの麻雀戦術書です。
「強者の共通点はびっくりするほど少ない」と筆者は言います。
本書では天鳳位を始めとする強者たちの打ち筋の共通点を見出すとともに、それぞれの独自のバランス感覚(他人にはマネできない本人だけの「勝ちの型」)を明らかにすることを目指すものです。
数え切れないほどの牌譜を見てきたからこそ分かる、異彩を放つ一打とその背景にある麻雀理論。
本書で「現代麻雀の神ワザ」を体感していただき、みなさんの「麻雀の型」をさらにレベルアップさせる一助にしてください。
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