『勝つための現代麻雀技術論』では牌姿を300以上取り上げました。問題集以外の戦術書としては異例の多さです。前回申しましたように、文章量を大幅に減らす必要がありました。牌姿を多く取り上げて打牌基準を示せば、その分解説に必要な文章量を減らせると考えたためです。
牌姿についてもただ数多く取り上げたのではなく、手牌をパターン毎に分けて、なるべく少ない牌姿で打牌基準を押さえられるようにすることを考えました。そのため、打◯有利としても、次善の選択との優劣差はなるべく小さくなるものを取り上げました。小差のケースだけ押さえれば大差のケースも何を切ればよいか判断できますが、その逆はできないためです。
この方針で何とか(それでも当初予定されていたよりはかなりページ数が増えてしまいましたが)、サイト版「現麻」の内容を踏まえたうえで、当時の最新の研究成果を取り上げることができました。
もちろんその弊害として、解説不足で不親切な内容になってしまったことは否めません。初心者お断りというよりは、「勝つための戦術書としては、誰向けとも言えない」ものです。本のタイトルが、『勝つため』になったのは、実は編集が一通り終わった後のタイミング、つまり完成段階になってからの話です。もし最初からタイトルが決まっていたならば、結果に影響しやすい内容を重点的に取り上げ、結果にあまり影響しない内容は最初から取り上げない方針で進めていたことでしょう。
意図せずに本のタイトルに内容がそぐわないものになってしまったこともあり、麻雀ウォッチにて、「もっと勝つための現代麻雀技術論」として補完記事を投稿させていただきました。思えばこちらに記事を提供させていただく契機となったのは、三作目の、『天鳳 公式完全攻略読本』発売記念としてスリアロチャンネルに呼ばれ、その際に麻雀王国の方から直接依頼を受けたためでした。
天鳳本発売後は原稿の依頼が入ることもなく、他に優秀な戦術書が数多く出回るようになったため、言うなれば私は既に役割を終えた状態。この時直接依頼が入らなければ、私はこのまま麻雀界からフェードアウトしたことでしょう。実際、このまま去ることを考えた矢先に、「そう言えば…」と依頼が入っていたことを思い出したくらいでした(依頼と言っても、麻雀ウォッチの記事は義務ではなく自由に投稿できる)。
直接依頼を受けたとあるように、当時私は上京していたのですが、実は『現麻本』『現麻本実践編』の際も天鳳で記念大会が行われており、その時は実家から参加しただけでした。『天鳳本』の際にスリアロに呼ばれたというのも、その時たまたま私が上京していたからというだけです。では何故私はその時東京に居たのか。その話は次回以降することにいたします。