たまには麻雀漫画の話もしたいですね。麻雀漫画の金字塔と言えば、福本伸行氏の『アカギ』および、その元作品である『天』を挙げる方も多いのではないでしょうか。闘牌シーンだけでも数多の名シーンが出て来ます。
『アカギ』であれば、
・ 矢木戦の倒牌ミスを装っての単騎アガリ
・ 市川戦の大ミンカンからのリンシャン三色ドラドラ
・ 川島先輩のイカサマを逆用した勝負
・ 浦部戦の王牌をこじ開けさせた単騎
・ 浦部戦の「この単騎には魔法がかけてある」からのホーテイドラ4
・ 鷲巣様の脳内物質駆け巡るドラ12
『天』であれば
・ 「オレの暗刻はそこにある」四暗刻地獄待ち
・ 純チャン二盃口からの、飛龍地斬四暗刻
・ 送りカンを利用した、防禦不能逆転迷彩単騎
・ 東西決戦最後に二人麻雀。嶺上開花狙いと思わせてからの、符ハネで満貫ツモ
麻雀漫画ファンであれば、どのシーンかすぐに思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。とりあえず10個並べてみましたが、いずれも、「カン」「王牌」絡みであるという共通項があります。
前回、「王牌廃止論」の話をしました。王牌を無くし、最後の1枚までツモるとすれば、必然的にカンやドラも廃止になります。王牌を廃止する案は結局受け入れられなかったことは前回お話した通りですが、もしリーチ麻雀が導入される段階で王牌が廃止されていれば、これらの名シーンが登場することはありませんし、そもそも麻雀漫画というジャンルが今ほど盛り上がっていたかも分かりません。
もちろん競技としては不確定要素が少ない方が望ましく、王牌を抜きにしても名闘牌を描くことが出来ないわけではありません。時代に応じてルールを変化させようという動きがあるのはもっともなことですが、合理性を追求する中でも、様々な価値観の麻雀ファンにとって魅力的なコンテンツを提供するにはどうすればよいか。そのことも同時に踏まえる必要があると、何気ない王牌の話からふと感じさせられたのでありました。