少し前になりますが、今年2月、「大手コンビニエンスストア加盟店の経営者が、急な欠勤に罰金を科す違法な契約をアルバイト店員に結ばせた容疑で書類送検された」という報道がありました。
警察の調べによると、加盟店は、アルバイト店員の男女5人に、「急に欠勤した場合は1回1万円の罰金を徴収する」という内容の書類に署名させていたとのことです。経営者としては、急に欠勤されて迷惑・被害を受けているわけですし、このような「罰金制度」はよく見受けられるような感覚をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
しかし、実は労働基準法に抵触しているのです。
具体的には・・・
<労働基準法第16条(賠償予定の禁止)>
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
「賠償予定額の予定」とは、労働者が労働契約に対する義務を果たさないときの賠償額を、実際の被害額がどれだけだったかに関わらず、一定の金額として定めておくことです。このような契約書をしてしまうと、使用者は、損害が発生ししたことや、実際の損害額がいくらになるかを証明しなくても、一律に定めた金額を請求することができてしまうこととなり、禁じられています。
ただし、損害賠償額を予め定めないで、「実際に生じた損害について賠償を請求すること」は禁じられていません。一言でいうと「あらかじめ罰金を定めておくのはNG!」ということです。冒頭の「欠勤1回につき一律1万円としていること」は典型的な例ということがいえます。
従業員の突然の欠勤・遅刻または退職などについて、ペナルティを課すことで防止策を取ろうと考える経営者は多いと思います。ただし、今回のような思わぬ落とし穴もたくさんありますので、十分に注意してください。
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