Mリーグ開幕から1ヶ月半。長いシーズンの3分の1が終了したに過ぎないが、チーム・個人で明暗がわかれる結果になっている。
リーグ首位の渋谷ABEMASはドラフト1位の多井隆晴が前評判通りの結果を残し、個人でも250ポイントを超えて首位だ。(11月12日現在)
「これが個人戦だったら、毎日踊ってますよ。でも白鳥・松本の調子が下降気味なので、微妙な気分です。こんな気持ちは初めてでチーム戦ならではですね。どうしたら白鳥の調子が戻るんだろう。そればかり考えてしまう」と、この1ヶ月を振り返った。
若い白鳥翔、松本吉弘にとっては、精神的支柱の多井が後ろに控えている安心感がある。
「多井さんが二人分を補ってくれている気持ちが強いので、のびのびやれています。でもそれにおんぶに抱っこじゃいけない。多井さん一人のポイントがチームポイントになっているので、悔しい気持ちもあります。僕らが負けてチームの調子が落ちていたときに多井さんが勝ってくれて、なんて頼りになるんだと。味方で本当に良かったという気持ちが強いです」と松本の多井への信頼は厚い。
開幕直後は個人首位に立つも、そこから成績を落とし一時は20位にまで落ちた白鳥は「21人の中で最も激動な1ヶ月でしたが、チームとしては心強い二人がいるので気にはしてないです」といつもと変わらない表情だ。
「個人戦じゃないところが一番緊張するところで、個人戦だったら打てる牌が、チームメイトの顔がよぎると打てなかったりすることがありますね。他の選手よりちょっと奇手が多いように見えると思うので、失敗して僕個人だけが批判されるのは良いのですが、チームメイトのことを考えると失敗できないなと。そういうプレッシャーがあるせいか、成績が悪い部分もあるかもしれません」とチーム戦ならではの緊張感について話した。
この舞台を予想して20年間準備していた多井
Mリーグの特徴である赤ありと自動配牌のルールについては、「RMUでは自動配牌で赤ありの大会はすでにやっているので、何も苦にならないですね。私は10年前から将来は自動配牌になると思ってましたし、なぜプロの世界は最も普及している赤ありルールでやらないんだろうと思っていたので」と多井に苦手意識はない。
松本は「赤ありの自動配牌は日本で一番行われているルール。だからこそアマチュアが見たことのないような、高度なプレー・良い内容で勝負しなきゃいけない。一番なじみのあるルールだからこそ、プロとしての麻雀を見せるべきだと思っていて、それに対するプレッシャーはめちゃくちゃありますね。」と最も競技人口の多いルールゆえの見せ方を意識している。
これまでにない豪華なセット、最高の設備による高品質の中継について多井は、「僕は目立ちたがりで楽しんじゃうタイプなんですが、僕以外はみんな緊張していますね。ずっとMリーグのような世界を思い描いていて、20年間準備していたので、ふっとこの舞台にたった人と、最初から想定していた人では全然違います。それがこのスタートダッシュの差になったのかもしれません」と余裕を感じさせた。
一時は風林火山に首位を譲ったものの、すぐにその座を取り返したABEMAS。心の余裕が安定感につながっている。