システム6
昨今の研究で安手悪形待ちの追いかけリーチが案外成立するという結論が出ているのは、ベタオリした時の損失が結構大きいためです。実戦では追いかけリーチを打たなかったからといって必ずしもベタオリになるとは限らないので、ダマにして危険牌を引いたらテンパイ崩し、危険牌にくっついてもリャンメンテンパイしたら追っかけのように、より有利な選択を取れるという理由で判断が変わることも十分有り得ます。
データと体感が合わない理由には、「安牌を切って追いかけリーチができる」ケースがあまりないというのもあるかもしれません。テンパイしても安手悪形の1シャンテンであれば、テンパイする前に危険牌を引くようならひとまず安牌を切ることになりますし、浮き牌も安牌の代わりに良形高打点への変化を狙う牌を抱えていることが多いものです。個人的な話になりますが、「安牌を切ってテンパイなら悪形のみ手でも追いかけリーチが成立する」というデータが示されてから、実戦で同様の局面になったのは1回のみでした(その時は他にマシな選択が考えにくいこともあってリーチを打ち、結果的にアガることができました。)。 テンパイ時に切れる牌が安牌であることは大きな利点であるということは押さえつつ、実戦はあくまで別の選択肢との比較であるということをふまえたうえで判断するようにしましょう。
システム7
システム6でも触れましたが、ベタオリとの比較であればテンパイから大抵のケースで押し有利になります。逆に言えばテンパイを崩してもアガリの可能性が残る場合はこの限りではありません。
分かりやすいのが今回のようにテンパイを維持するために切る牌がドラである場合。放銃率、放銃打点が上がるというだけでなく、ドラにくっつくことでより高打点のテンパイに取れる可能性が残ります。
もちろん通っていないドラだからという理由でテンパイから毎回止めるのは損なので、元々はっきり押し有利な手はドラでも勝負。切る牌がドラであるという理由で押すかどうか微妙な手牌であれば止めて回し打ちの可能性を残すくらいのつもりで打ちましょう。
こちらで取り上げましたように、良形2翻テンパイなら切る牌がドラで更に降り寄りの条件が揃っても、局収支上は完全に降りてしまう選択と互角に近いようです。もちろんベタオリとの比較で互角なら、ドラを使い切ってアガリきれる可能性が残る回し打ちが有利であると言えます。よって今回くらいの条件なら確実に回し打ちした方がよいとまでは言えなさそうですが、少なくとも良形テンパイだからといって何でも押しとまではいかないということは意識しておいた方がよさそうです。
オリ本 ~天鳳位が語る麻雀・守備の極意~
本書は第9代天鳳位であるしゅかつ氏が「オリ」について語った一冊です。とはいえ「相手から攻め込まれた瞬間」にどうやってオリるかを解説したものではありません。その前の段階や後の段階の技術(=大局観)を総合的に説明することで、押し引きを点ではなく線で捉えられるようになっています。それと同時に、「こんなケースでは思考停止でベタオリで良い」といった考えなくて良いケース、というのも説明しています(=システム化)。これらの大局観とシステム化の両輪によって本書はより汎用的なオリの技法を説いたものとなり、これまでの麻雀の守備戦術本とは一線を画す、ハイレベルな内容になっています。本書で現代麻雀の最高レベルの「可能な限り失点を防ぐ技術」を体得してください。
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