- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第三章
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打点読みに関しても、他家が安手であれば自分の手牌都合で進めればよく、配牌の段階でドラが固まっていて手役も揃っている手牌がある以上、安手の可能性が高いという読みは外れがち。赤ドラ合わせて7枚もドラがあるルールであればなおさらです。よって重要になるのは、高打点の可能性が高いことが読める情報です。
リャンメンから鳴いているからドラが固まっているという読みは以前からよく言われますが、本書で示されているように、「スピード優先の局面でない」「リャンメンが場に薄くない」「二度受け解消でない」「手役を確保するためでない」と結構例外事項が多いセオリーです。もちろん、例外事項が多いから役に立たないというわけではなく、例外事項があることを踏まえたうえで、今回はそれらのケースに該当しないから、いよいよドラが固まっている可能性が高いという形で用いるべきでしょう。
読みについて書かれていて、なおかつ内容も正しい有用な戦術記事も現在では多く見受けられるようになりましたが、どうしても記述量が長くなりがちになるという問題点があります。しかもそのうえで例外事項を全て把握できているとは限らず、それらを更に言語化しようとするとなおのこと解説が難しくなります。
今回のような、「リャンメンから鳴いている場合はドラが最低でも2枚以上ある」のような分かりやすいセオリーであっても、例外事項が結構多く、言葉通りに捉えると誤った判断をしがちです。しかし、戦術を提唱する側にとっても、受け取る側にとっても、セオリーはなるべく分かりやすい形でまとめたいもの。 一昔前の読みに関する戦術記事に誤ったものが多いとされるのも、単に検証不足というだけでなく、言語化の難しさに理由があったものと個人的には考えています。
次の2つのセオリーについても、「メンゼンでテンパイしやすい手牌なので既に役牌に頼る必要が無いドラ2以上の手」「ホンイツでメンツ候補が揃っているので、役牌がドラトイツ以上でも跳満以上を狙うに越したことのない大物手」といった例外があります。例外事項であるケースを読める情報が出ている場合の方が読みとして重要なので、セオリーを言葉通りに捉え過ぎるがあまり固定観念の囚われないよう注意したいものです。
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