- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
第2章 1シャンテンに向かう考え方
case27 見た目の枚数はどれくらい配慮すべきか?
切られていない牌が他家に使われているとは限らず、切られている牌がその牌を切った他家に使われていないとも限らないので、基本は見た目枚数を優先することになります。
しかし、「2人以上が序盤から同じ牌を切っている」といった、周辺牌が特に使われてなさそうと読める強い情報があるとなれば話は別。それだけ強い情報があるのであれば、相対的にそれ以外の牌が使われている可能性も高まるのですからなおさらです。
77ページの図は天鳳名人戦の小林プロのもの。詳細はリンク先の本人の解説を御参照下さい。チャンタやトイトイがあるので、ドラそばを切っても打点面で劣らないということもポイントです。この牌姿なら最高で倍満までみてを残してそうですが、そこまでせずとも高打点になりやすい手牌なので、他家にホンイツやトイトイをケアさせずに仕掛けやすくする狙い。この選択が功を奏して結果的に跳満のツモアガリになりました。大事なのは目に見えている枚数ではなく、山に何枚残っていて、相手が切ってくれる牌かどうかであることがよく分かります。
case28 字牌を絞るタイミング
現在では序盤から字牌を絞る必要はないというのが定説になっていますが、一昔前は字牌を絞ることがよく言われていました。
個人的に絞りが強調されてきた理由は、安易に字牌を切り出す打ち手は中盤以降の不用な字牌切りが原因で失点を重ねがちだったことにあるのではないかと考えています。これは絞りがさほど重要視されなくなった現在でも同様の傾向がみられます。実力者は安易な失点が少ない。これはいつの時代にも通ずる話です。
字牌を安易に切りがちになってしまう理由は、「字牌は使いにくい」ということと、「鳴き手はテンパイ不確定だからまだテンパイしてないかも」と思い込んでしまいがちであるということ。ホンイツに限らず鳴き手は待ちが絞りやすいですから、当たる可能性がある生牌の字牌を切ることによる放銃率は無スジの中張牌を切るのと大差ありません。
そう考えると、たとえ鳴き手のテンパイ率が50%あるかどうかの手だったとしても、79ページのように2シャンテンの手からは生牌の字牌を切るべきではないという結論になります。重要なのは絞りというより、既に放銃リスクが十分あるという意識を怠らないことにあります。
麻雀技術の教科書
読めば勝率が上がる! すべての雀士必携! 新しい麻雀戦術書!
麻雀の打ち方は人それぞれです。
本書の著者の二人を比べてみても、井出プロは手役重視、
小林プロはスピード重視と、スタイルがかなり違います。
打ち方が正反対の二人に共通する考え方があれば、
それは、現代麻雀のセオリーといえるのではないか。
この問いから、本書は生まれました。
「アガリ方の基本を1冊に」
「複雑な牌姿でも、迷わず打てるように」
というのが基本方針ですが、
ルールを覚えたばかりの人でも読めるように
丁寧に解説することを心がけました。