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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第32回 牌効率(その16)トイツの数をチェックしよう

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第32回 牌効率(その16)トイツの数をチェックしよう

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手作りで必ずいるのは、トイツ(同じ牌2枚の組み合わせ)です。

トイツといえば、Mリーグの解説でも知られる土田浩翔プロですね。
ツイッターのプロフィール欄は、「対子に着目した独特の戦法、土田システムを操り、『トイツマスター』、『トイツ王国の王子』などの異名をとる」とあり、文面からトイツへの愛があふれています。

マスター違いでは、新津潔プロが「シュンツマスター」と呼ばれています。その心は、こちらの紹介記事をご覧ください。数十年麻雀に打ち込んでこられた大先輩の間でも、トイツに対する見方がわかれるのは、奥が深いと感じます。

ただ、いずれにせよ、トイツはアタマとして最低1つ必要なので、トイツとうまく付き合っていく必要がありますね。

トイツは、公式が定着していますので、結論からご紹介しましょう。

1   トイツが4つあれば、チートイツを意識できる
2     トイツが3つの時はあまり強くない(ただし、ポンして進められる手の場合はのぞく)
3     トイツが2つの状態は強い

この法則は、片山まさゆきさんによる麻雀漫画の名作「打姫オバカミーコ」で、「スリーヘッド最弱理論」として描かれて(11巻97話・98話)広まりました。手作りの途中では、トイツが複数できることが多いので、よく使う判断基準として重宝します。

トイツが4つある形、例えば

[一][一][六][八][④][④][1][5][7][7][発][北][北]

は、チートイツのリャンシャンテンですね。牌姿によって、普通のメンツ手やトイトイを目指せることもあり、選択肢は広いといえます。

一方、トイツが2つの形は、典型的には、下のような完全1シャンテンがあります。

[一][二][三][③][④][④][5][6][7][8][9][南][南]

トイツが[④][南]の2組あり、一方がメンツになれば、他方がトイツとしてアタマになれるので、カバーし合えて強いわけですね。例えば、[②][⑤]を引けば、[④]を切って[南]をアタマにすれば良いですし、もし[南]を引けば、[③]を切って[④]をアタマにできます。詳しくは第29回の「完全1シャンテンは完全か?」をご覧ください。

では、トイツが3つの場合はどうでしょうか。
「打姫オバカミーコ」で紹介されている牌姿の中から、引用します。

[②][③][⑥][⑥][⑧][7][8][一][二][二][五][五][七] ツモ[9]

新人プロの蒼尻つぼみは[一]を切ります。トイツを3つキープする形ですね。
が、主人公の丘葉未唯子は「正解は[五]」と叫びます。トイツを1つ崩し、2トイツにします。

どちらも2シャンテンで、あまり差がないように見えますが、細かくみてみましょう。

A) [一]を切った場合

[②][③][⑥][⑥][⑧][7][8][9][二][二][五][五][七] 

1シャンテンへの受け入れは、[①]4枚、[④]4枚、[⑥]2枚、[⑦]4枚、[二]2枚、[五]2枚、[六]4枚。
あわせると、7種22枚です。

B)[五]を切った場合

[②][③][⑥][⑥][⑧][7][8][9][一][二][二][五][七] 

1シャンテンへの受け入れは、[①]4枚、[④]4枚、[⑥]2枚、[⑦]4枚、[二]2枚、[三]4枚、[六]4枚。
あわせると、7種24枚です。

Aと比べると、Bは、[五]の2枚を失うかわりに、[三]の4枚があるので、差し引き2枚プラスです。
わずか2枚ですが、毎巡2枚差があると、巡目が進むほど大きな差が生じます。この差があるゆえに、スリーヘッドは弱いといわれるのです。

ではトイツを崩すのが良いなら、[五]ではなく、[⑥][二]を切ってもいい?と思われるかもしれません。
確かに、同じ7種24枚の受け入れになるのですが、その先の発展に違いがあります。

[五]を切った形

[②][③][⑥][⑥][⑧][7][8][9][一][二][二][五][七] 

だと、[四][八]を引けば、カンチャンターツがリャンメンターツになり、さらに受け入れが増えますね。

一方、[⑥]を切った形

[②][③][⑥][⑧][7][8][9][一][二][二][五][五][七]

は、リャンメンターツに育つには、[⑤]を引くしかありません。

また、[二]を切った形

[②][③][⑥][⑥][⑧][7][8][9][一][二][五][五][七]

だと、[一][二]のペンチャンターツが残り、一手ではリャンメンにはなりません。

これらを比較して、[五]を切るのが最も有利だという結論になります。つまり、

3トイツは弱い→トイツをどれか1つほぐそう→ほくした後の形が最も良いものを選ぼう

という順で考えます。

初心者のうちは、私もそうでしたが、同じ牌がそろうと嬉しく、トイツをほぐすのは、何となく抵抗感があるものです。しかし、トイツが3つあるときは、意識して1つ崩していくことを試してみてください。

ただ、この法則は、メンゼンで進めることを前提にしたときの話で、ポンをしたい時はあてはまりません。
例えば、ダブ東やダブ南、ドラの字牌がトイツで鳴きたいとき、食いタンヤオを目指すときなどです。

この場合は、3トイツを保っておくと、1つポンできれば、2ヘッドの安定した形が残り、有利になります。
3トイツだとただちに弱い、というわけではないので、ケースバイケースで考えてみましょう。

次回はさらにトイツ王国への道を進み、チートイツについて考えます。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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