手作りで必ずいるのは、トイツ(同じ牌2枚の組み合わせ)です。
トイツといえば、Mリーグの解説でも知られる土田浩翔プロですね。
ツイッターのプロフィール欄は、「対子に着目した独特の戦法、土田システムを操り、『トイツマスター』、『トイツ王国の王子』などの異名をとる」とあり、文面からトイツへの愛があふれています。
マスター違いでは、新津潔プロが「シュンツマスター」と呼ばれています。その心は、こちらの紹介記事をご覧ください。数十年麻雀に打ち込んでこられた大先輩の間でも、トイツに対する見方がわかれるのは、奥が深いと感じます。
ただ、いずれにせよ、トイツはアタマとして最低1つ必要なので、トイツとうまく付き合っていく必要がありますね。
トイツは、公式が定着していますので、結論からご紹介しましょう。
1 トイツが4つあれば、チートイツを意識できる
2 トイツが3つの時はあまり強くない(ただし、ポンして進められる手の場合はのぞく)
3 トイツが2つの状態は強い
この法則は、片山まさゆきさんによる麻雀漫画の名作「打姫オバカミーコ」で、「スリーヘッド最弱理論」として描かれて(11巻97話・98話)広まりました。手作りの途中では、トイツが複数できることが多いので、よく使う判断基準として重宝します。
トイツが4つある形、例えば
は、チートイツのリャンシャンテンですね。牌姿によって、普通のメンツ手やトイトイを目指せることもあり、選択肢は広いといえます。
一方、トイツが2つの形は、典型的には、下のような完全1シャンテンがあります。
トイツがとの2組あり、一方がメンツになれば、他方がトイツとしてアタマになれるので、カバーし合えて強いわけですね。例えば、かを引けば、を切ってをアタマにすれば良いですし、もしを引けば、を切ってをアタマにできます。詳しくは第29回の「完全1シャンテンは完全か?」をご覧ください。
では、トイツが3つの場合はどうでしょうか。
「打姫オバカミーコ」で紹介されている牌姿の中から、引用します。
ツモ
新人プロの蒼尻つぼみはを切ります。トイツを3つキープする形ですね。
が、主人公の丘葉未唯子は「正解は」と叫びます。トイツを1つ崩し、2トイツにします。
どちらも2シャンテンで、あまり差がないように見えますが、細かくみてみましょう。
A) を切った場合
1シャンテンへの受け入れは、4枚、4枚、2枚、4枚、2枚、2枚、4枚。
あわせると、7種22枚です。
B)を切った場合
1シャンテンへの受け入れは、4枚、4枚、2枚、4枚、2枚、4枚、4枚。
あわせると、7種24枚です。
Aと比べると、Bは、の2枚を失うかわりに、の4枚があるので、差し引き2枚プラスです。
わずか2枚ですが、毎巡2枚差があると、巡目が進むほど大きな差が生じます。この差があるゆえに、スリーヘッドは弱いといわれるのです。
ではトイツを崩すのが良いなら、ではなく、やを切ってもいい?と思われるかもしれません。
確かに、同じ7種24枚の受け入れになるのですが、その先の発展に違いがあります。
を切った形
だと、かを引けば、カンチャンターツがリャンメンターツになり、さらに受け入れが増えますね。
一方、を切った形
は、リャンメンターツに育つには、を引くしかありません。
また、を切った形
だと、のペンチャンターツが残り、一手ではリャンメンにはなりません。
これらを比較して、を切るのが最も有利だという結論になります。つまり、
3トイツは弱い→トイツをどれか1つほぐそう→ほくした後の形が最も良いものを選ぼう
という順で考えます。
初心者のうちは、私もそうでしたが、同じ牌がそろうと嬉しく、トイツをほぐすのは、何となく抵抗感があるものです。しかし、トイツが3つあるときは、意識して1つ崩していくことを試してみてください。
ただ、この法則は、メンゼンで進めることを前提にしたときの話で、ポンをしたい時はあてはまりません。
例えば、ダブ東やダブ南、ドラの字牌がトイツで鳴きたいとき、食いタンヤオを目指すときなどです。
この場合は、3トイツを保っておくと、1つポンできれば、2ヘッドの安定した形が残り、有利になります。
3トイツだとただちに弱い、というわけではないので、ケースバイケースで考えてみましょう。
次回はさらにトイツ王国への道を進み、チートイツについて考えます。