第二章
1 麻雀を覚えたての段階だと手役がつかない鳴きをしてしまうミスをしがちというのも、ケイテンの価値が低く見積もられがちな原因かもしれません。
確かに、巡目が十分にある段階で、メンゼンの1シャンテンから鳴いてアガリ目のないケイテンにしてしまうのは明確に損な選択ですが、流局間際に容易に取れるケイテンを逃してしまうのも、収支上はっきり損をすることになります。テンパイ料が存在するため、流局間際は手牌の価値が大きく変わります。
形にとらわれないよう、頭を切り替えて望みたいですね。
2 ケイテンを目指す局面は既に巡目が深いので、判断基準を単に手牌だけで決められないことも多くなります。
また、ケイテンによる収入は多くの場合1000点か1500点であるのに対し、ケイテンを目指して放銃した場合は満貫以上になる場合もあるので、着順的に安手の加点にあまりメリットがない点数状況なら無理に取りにいかない方がいいことも多いです。
要素の一つ一つを見て総合的に判断するというのは実戦では困難なので、どの要素が打牌判断を決定するうえで特に肝要であるかをはっきりさせましょう。
3 スルーして次鳴ける牌が出たらケイテンに取る、その前に運良くテンパイすればリーチという選択肢もあるので、本書の基準よりは若干遅めまでアガリを目指す方がいいかもしれませんが、選択を先延ばしすると打牌判断が難しくなりやすいことには注意したいところです。
4 降りていれば容易に失点が回避できるケースで、ケイテンを目指したがために放銃してしまうことがあるのも、ケイテンが軽視されがちな要因の一つ。
単純に何巡目程度からケイテンを目指す、この程度の危険牌ならケイテンのために押すというような取り決めをしていると犯しがちなミスとも言えます。
ケイテンを目指すにしろ、放銃のリスクを負ってでもケイテンに取るか、テンパイには取らずに、より安全にケイテンを目指す選択を取るかを比較する必要があります。
5 リーチ者1人以外が降りているとなると、比較的容易にケイテンを目指せます。
通っていない浮き牌や、通ってない牌を含む面子候補をツモか鳴きで面子候補または面子にしつつ、通っている浮き牌、あるいは全体が通っている面子や雀頭、面子候補を落とすことでよりテンパイに取りやすい手牌になります。
6 攻めている相手がリーチ者以外にもいるとなると、1人攻めの感覚で形テンを目指していると途中で別の他家のテンパイが入り安牌に窮することもあります。
逆に、2人以上攻めているからケイテン狙いも無理と判断して完全に降りてしまうと、途中で鳴き手の他家が降りたので安全にケイテンを目指せたケースを見落としがちになります。
ケイテンを狙ううえでは他家の動向を把握することがいかに大事であるかがよく分かります。
7 即テンパイすれば十分押せるだけの1シャンテンであれば、流局間際でないならわざわざケイテンに取ることはありません。
逆に言えば、テンパイしても押すかどうか微妙な手の場合は、降りると決めつける前に、安全にケイテンを取りにいく手段は残っていないかを確認するように、安全にケイテンを取りにいくことすら困難な場合は、降りるにしろ明確なテンパイ者以外の攻撃にも注意しつつ切る牌を選ぶようにします。
本記事に関するご紹介
第1章では、思想が実戦の場でどう具現化するかが立体牌図を使って詳細に解説されています。第2章は、なんとケイテン(形式テンパイ)にまつわる戦術のみで構成。第2章はASAPINにしか書けない内容といっていいでしょう。