第一章
1 麻雀は4面子1雀頭を作るゲーム。つまり5つ目以降の面子候補は必ずしも必要というわけではないので、局面によっては何らかの理由で浮き牌を残して面子候補を1つ外す選択肢が候補に挙がります。
今回のように仕掛けに打ちづらい牌を引いた時にその牌を面子候補として使えるようにするというのもその一つ。
この手の技術は従来の戦術書でも取り上げられることがありましたが、そちらは1シャンテンであることが多く、引くか分からない危険牌のために手を戻すくらいなら、テンパイしたら勝負するつもりで素直に打った方がよいものが多かったと記憶しています。
そういうこともあってこの手の技術は軽視されがちですが、1シャンテンより前の手牌の場合は今回のように浮き牌残しが活きる場合もあります。
2 「一度鳴いたら手が進むものは鳴く」「鳴いてから守備を考えるくらいなら最初から鳴かない」。よく耳にする話で、確かにその通りである局面も多いですが、こういうのもケースバイケース。
「あがれるとしたら鳴いた場合だからとりあえずここは鳴いてみる」「守備力との兼ね合いでここからはまだ鳴かない」という判断も時には必要です。
個人的には図1はスルーしてもそれほどメンゼンでテンパイしやすくなく、ホンイツになるようならリーチ以上の打点が見込めるので通常でも鳴いてよいとみます。
3 仕掛けへの対応が苦手な人は、テンパイしている可能性がそれなりにある以上リスクの先負いをすべきでない局面で危険牌を先に切ってしまうことや、切る牌自体はそれほど危険とは言えないが、手が進んだ時に切る牌の危険度も考慮すればここからは押すべきでないケースで押してしまうことが多いように見受けられます。
特に今回のように、一旦引いてもまだアガリの可能性が残せる場合はなおさら、「真っ直ぐ押すのが本当に最善なのか」を考えるようにしたいものです。
ただ今回はテンパイさえすれば十分押してよい手で、で振ったとしても高打点のケースは少ないので、本書では言及されていませんが、テンパイを逃すツモがメンチンの1シャンテンになることまで考慮したうえでの回し打ちなのかが気になりました。
4 今回くらいの手牌、局面なら切りが先でいいと思いますが、仕掛けた相手がテンパイしていてしかも高打点というのがたとえレアケースだとしても、リスクの先負いをするに見合わない手牌、あるいは、危険牌を容易に使い切れるので、リスクの先負いをせずともアガリ率がほとんど落ちない手牌から振り込んでしまうのは事故ではなくミスです。
見合わない手からあからさまな危険牌を押してしまうようなミスを減らすことは容易ですが、この手のミスは私自身も意識してないとやりがちです。
テンパイ不確定の他家のテンパイ率を、0か100かで考えないようにしたいですね。
本記事に関するご紹介
第1章では、思想が実戦の場でどう具現化するかが立体牌図を使って詳細に解説されています。第2章は、なんとケイテン(形式テンパイ)にまつわる戦術のみで構成。第2章はASAPINにしか書けない内容といっていいでしょう。