第二章
8 大きく離れたトップ目がいるなら平場ではないとはいえ、別の二人と僅差であればケイテンの価値は十分にあると言えます。
逆に言えば、上位者とも下位者とも離れていて着順争いしている他家がいない場合はケイテンの価値が低く、局収支期待値上はテンパイ取りが有利であっても切る牌の放銃率が高ければ降りが無難と言えます。
点数状況判断は戦術書で取り扱われることが少ない(厳密な判断は実力者でも難しい一方、平場とはっきり判断が変わるような特別なケースは常識的に考えればよいとされがちなので。)ため、打ち方を戦術書から身につけた方は苦手とされる方が多いかもしれませんが、本書にある通り、特別なケースだけは見落とさないようにしつつ、そうでないケースはリスクに過敏にならずフラットに判断するのがコツです。
9 オーラス3000〜4000点以内の点差が最もケイテンが重要になります。
逆に言えば、4100点以上差がつけば一人ノーテンでも着順が落ちませんし、一人ノーテンで着順が落ちない点差なら、少し点数を上乗せして出アガリ8000点でも着順が落ちなくすることができるので、ラス前にメンゼンで先制テンパイした場合は、ダマでギリギリまくろうとせず、リーチで点数を上乗せして他家により逆転されにくい条件をつけた方が有利になることが多いと言えます。
10 麻雀の点数計算の都合上、ラス前のケイテンによる3000〜4000点の差は、オーラスの着順争いに大きな影響を与えることが多いことがお分かりいただけると思います。より具体的にはこちらの記事を御参照下さい。
http://g3gussan.blog64.fc2.com/blog-entry-69.html
11 事象ベースではなく確率ベース。言うのは簡単ですが実戦で個別に判断していくのは難しいものです。
このあたりは是非とも、ネット上で公開されている各種シミュレーターを活用されることをお勧めします。もちろん場況によって牌の危険度が変わるのでアナログ的判断も必要ですが、どの程度までは押せるかの目安が分かっていればなおのこと実戦で対応しやすくなります。
12 1シャンテンの中では原則、くっつき1シャンテン>ヘッドレス1シャンテン>2面子1シャンテンの順にテンパイしやすい、ケイテンの取りやすさについても同じです。
くっつき1シャンテンなら切れない牌が浮いてもその牌にくっついて面子候補になればテンパイに取れますし、ヘッドレス1シャンテンでもその牌を重ねるか、その牌の単騎待ちになればテンパイ。
本書の問題の中でも何度も出題されていますが、リーチに押せない2面子1シャンテンで鳴ける牌が出る→鳴いて通ってない牌は止めつつくっつきかヘッドレス1シャンテン(どちらにも取れる場合は原則くっつきの方がよい)にすることでケイテンを目指す技術は特に押さえておきたいところです。
13 ケイテンに限らず押し引き判断全体についてもそうですが、基本的に押し引き基準は1人攻めの状態を想定しているので、基準にとらわれすぎてリーチ者以外の動向を見落としていると押し過ぎてしまいがちなので注意が必要です。
『新次元麻雀』のレビューはここまで。次回からは、『麻雀傑作「何切る」300選』のレビューを行います。本書については校正を担当いたしましたので、発売前当時の話も踏まえたうえで解説させていただきます。
本記事に関するご紹介
第1章では、思想が実戦の場でどう具現化するかが立体牌図を使って詳細に解説されています。第2章は、なんとケイテン(形式テンパイ)にまつわる戦術のみで構成。第2章はASAPINにしか書けない内容といっていいでしょう。