テーマ9「カンはするべきか」
「カン」も従来の麻雀観では過小評価されることが多かったように思われます。その理由として挙げられるのが、「カンドラは自分に乗ることより、他家3人に乗ることの方が多い。」「自分が鳴き手の場合、自分に乗るのはカンドラ1種だが、メンゼンの他家はカンドラとカン裏で2種ある。」というものです。
しかし、自分があがれる可能性が高い場合であれば、カンによる打点上昇の恩恵を最も受けやすいのが自分です。また、カンドラ以外にも符ハネによる打点上昇と、ツモ番を1回増やす(大ミンカンを除く)というメリット、また数値で表すことは難しいですが他家へのけん制効果もあります。
カン以外の鳴き、リーチもそうですが、初心者のうちは無闇にしてしまうことで痛い目に合うことが多いということ。
どんな選択にもリスクは付き物ですが、自ら積極的に動く選択が悪い結果に結びついた時の方がどうしても印象に残ってしまうということ。このあたりに過小評価されてきた原因があると言えそうです。
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カンするかどうかの判断についてシミュレートを用いた研究もこちらでまとめられています。
局収支の観点からは、自分がテンパイさえしていれば、たとえリーチが入っていたとしても多くの場合カンが有利。先制時ならリャンメン×2の1シャンテンであれば、打点上昇の恩恵が受けにくい手であってもカンが有利となっています。もちろん点数状況的に打点を上乗せする必要性が薄い場合はこの限りではありませんが、個人的にも思った以上にカンが強いことに驚かされました。理由としては本書でも言及されているように、ツモ番が1回増えることによるアガリ率上昇の効果が大きいことにありそうです。
ツモ番が増えず符ハネの効果も薄い大ミンカンとなると、流石にカンすべきケースも減ります。
先制テンパイなら多くの場合はカンでよいとみますが、手役も面子候補も揃っていてほぼ鳴くことになる手であっても「どうせ鳴くから」という理由でメンゼンから大ミンカンをするのはあまり推奨できません。何故なら鳴くと安い手の場合は、低確率ながらメンゼンでリーチが打てる可能性と将来降りに回った時の守備力を消してまで鳴くほどではないですし、鳴いても高い手の場合は、他家に警戒されて絞られることが増えて結果的にアガリ率が落ちることが考えられるためです。もちろんオーラスでカンすることによって逆転条件を満たすといった場合は例外です。
自分のアガリ以外に、ハイテイをずらす(他家のツモを1回減らす)、カンドラを増やすことで横移動、親被りによる順位上昇狙いでカンする場合もあります。自分の手番でやる暗カン、加カンの場合は意識しやすいですが、他家の手番で4枚目が出た時に反応する必要がある大ミンカンはどうしても見落としがち。「普段はやらないけどこの場合はすべき」という選択に実戦で気付けるようになるためにも、考えるまでもなく基準通りに打てる領域を増やし、実戦では打牌基準から外れた選択が有力になる局面に気付くことに意識を集中させたいところです。
本記事に関するご紹介
そこで、それぞれの分野の天才に麻雀のことを聞いてみた。