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ネマタの天鳳日記 第5回

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 麻雀で何切る等の質問がございましたら、@nemata1632まで問題を御寄せ下さい。個別に回答いたしますが、面白い問題については当記事で掲載する場合があります(質問者の名前は伏せます)のでご了承下さい。

 本日は質問をいただいたものの中から一題。3巡目で1シャンテンになったところ。ドラを切ればツモだけでなく、ツモでもチートイツのテンパイになる形。しかし三色変化まであるドラを切るのももったいなく感じるので、ひとまずリャンメン固定の打と考える方もいるのではないでしょうか。

 しかし私は打でも打でもなく、の受け入れを外す打を推奨します。これは何も、安目を拒否しているわけではなく、より高打点になる受け入れ、変化を重視してのことです。

 何を切るかという問題になるとどうしても、打牌毎に異なる有効牌に着目されがちです。しかしこればかりだと、「打Aは◯◯を引いてテンパイするのが大きい」「打Bは△△引きも××引きの変化もある」のように、どちらも、「自分にとって都合のよい牌」をツモることを想定しがちになります。都合のよい牌を引くならその受け入れを残した方が有利になるのは当然なので、これでは比較にならず結論を出すことができません。

 異なる有効牌だけで結論が出せる問題は、そもそも最初から迷わずに正着を選べます。何を切るか迷った時にむしろ着目すべきなのは、「打牌毎に共通の有効牌を引いた場合に、どちらがより価値の高い手牌になるか」です。「どのような手牌が高価値といえるか」が分かりさえすれば、あらゆる何切る問題の答えを出すことができます。

 今回の手牌、チートイツテンパイになる牌を引いた場合は、もちろんドラが残っている方が有利です。ではメンツができる牌を引いた場合はどうでしょう。例えばを引いた場合。打とした場合はピンフのテンパイを逃すことになりますが、打とすることで、

 高めで平和イーペー三色ドラ、あるいは平和リャンペーコーまであるくっつき1シャンテン。のくっつき1シャンテンであればカンチャンテンパイと比べてもアガリ率はそれほど劣らず、打点については低くてもリーチピンフイーペーコー(約6000点)、高ければ跳満12000点まであるので、リーチピンフ(約3500点)と比較して2倍は軽く超えます。他のツモに関しても打点2倍程度は期待できます。テンパイを逃すツモでさえ打が有利と言えるのであれば、手変わりを待つ猶予が十分にあるこの局面では打がよいのではないでしょうか。

 手作りにおいて、「何を切れば何が有効牌か」は当然分かる必要があります。しかし、「有効牌が何枚あるか」を数える必要は、実はほとんどありません。手牌の評価の中で見た目の受け入れ枚数に関しては、特別知識が無くても分かり打ち手の主観も入らないので昔からよく取り上げられてきましたが、受け入れ枚数で打牌の優劣を決定できる問題は迷わずに正着を選べるものですから、迷う問題で受け入れ枚数にこだわるとかえって正着から外れがちです。

 重要なのは、「一手進んだ時の手牌の価値を正しく評価すること」であり、押さえておくべきは、「どのような手牌が高価値といえるか」です。「何切る」問題を解く場合も、「何を切るか」ではなく、「どのような手牌になればよりよいか」に着目されると実戦でも活用しやすいです。「どのような手牌が高価値か」については、今度も何度となく取り上げていくことにします。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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