前回の続き。鳴くと三色ドラ1の片アガリテンパイに取れる牌が出ましたが鳴くべきでしょうか。先に結論から言えばまだ鳴かない方がよいとみます。
片アガリのテンパイ自体は特別嫌うことはないですが、スルーした場合は三色にならなくてもメンピンドラ1の1シャンテン。鳴いて片アガリでないリャンメンテンパイが残るケースでも分岐点は中盤程度なのですから、メンゼンならテンパイ時にリャンメン以上が残る形で、鳴くと片アガリテンパイになる形なら基本は終盤まではスルーというところです。
しかし実戦では仕掛けが2人いてテンパイの可能性もあるとみて鳴きました。いわゆる、「鳴かないと間に合わなそう」という判断ですが、それでもこの時点でテンパイに取るのはやはり疑問手だったと思いました。
確かに東家南家はテンパイしていてもおかしくないですし、少なくとも仕掛けが入っていない場合に比べればテンパイに近いことは言えそうです。
しかし、仮に他家の仕掛けが入っていないとしても、この巡目なら誰かが1シャンテンにはなっていることが多いもの。役牌のトイツはアガリに遠い形から鳴かれていても何ら不自然ではないので、これだけでは鳴き判断を変える理由としては弱いとみます。
逆に言えば、鳴いてもまずまず打点があるといった、他家の仕掛けが無ければ鳴くかどうか微妙なケースであれば、この程度の情報でも鳴く理由になります。
また、「鳴かないと間に合わなそう」という判断が正しいとしても、「間に合わせる」必要性が果たしてそれほど高いかという問題があります。今回は東家は1シャンテン、南家はテンパイですがのみ手でした。安手をテンパイしている他家が入れば確かにアガリ率は落ちますが、自分がアガれなかった時の失点も小さくなります。
安手でもアガリを目指す理由は失点回避によるところが大きいのですから、メンゼンなら高打点が狙えるが鳴くと安くなる手牌については、他家の仕掛けが入っているというだけの情報では鳴き判断はそこまで変わりません。逆に言えば、仕掛けが高打点の可能性が高いなら、他家のアガリを阻止するメリットが特に大きいとみて判断を変えるだけの理由になります。
第18回でも申しましたが、何が何でも高打点にしようとして打っていると麻雀で勝つのは難しく、時代を経るにつれ打点より先制重視の傾向が強まっていった理由の一つと言えます。しかし、打点を追う方が有利なのであればギリギリまで追えた方がなおのこと勝ちやすいことは言うまでもありません。
今回はそもそも鳴く人はあまりいないと思いますが、「間に合わなそう」であっても、鳴いた方が有利とは限らないということは今一度意識しておきたいところです。