テーマ20
牌の危険度に関して、巡目別ではなく通った筋の本数を考慮した方がより正確な値が出るのではないかと主張されることもあります。確かにその通りではありますが、巡目は容易に認知可能であるのに対して、筋の本数は実戦中に数える必要があるので活用するのに一手間かかります。正確な押し引き判断のために通った本数を数える必要性がある局面はさほど多くないので、ひとまずは巡目別に押さえておくだけで十分と考えます。本書では巡目毎に通った筋の本数の平均値が示されているので、そこから本数別の危険度を推測することも可能です。
最終盤に関しては無筋456の放銃率が25%超え、無筋37でも20%に達します。平均値でこれですから、通った筋の本数次第で更に危険度が上がることになります。通ればテンパイ料が入るなら危険牌でも勝負というのは一般的には正しいとはいえ、実戦では成立しないことも珍しくなさそうです。
ベタ降り時に現物同士は将来危険になりやすい牌から切るというのも一般的にはその通りですが、あまりこだわりすぎると既にダマで高打点をテンパイしている他家に放銃してしまう恐れがあります。ノーテンから切られるのは不自然な牌を押してきた他家がいる場合はもちろん、別の他家がテンパイしたところで降りるには困らないほど安牌を抱えている場合には注意するようにします。いずれにせよ、基準にこだわりすぎて場を見ることを怠らないようにしたいものです。
テーマ21
数牌は周囲の牌が多く見えることで待ちになる組み合わせが減りますが、字牌はシュンツを作らないので現物にならない限り当たる組み合わせが減りません。そのため、通った牌が多くなる終盤では相対的に危険度が上がることになります。一般的に生牌字牌は中盤以降筋28より危険になります。
とはいえ、筋数牌は通った牌が多い段階では、そもそも手順上当たりにくいことが読めることが多いものです。テーマ12で取り上げたような筋の中でも特に当たりやすい牌である場合。リーチを受けたのが河情報の少ない序盤で、牌の組み合わせ以上に放銃率を推測する要素がほとんど無い場合に関しては例外的に筋を止めることもありそうです。
もちろんこういった例外は頻度としては低い(そもそも他により通りやすい牌を持っていることが多い)ので、実戦で現物が無い場合に、字牌を切る前に他にもっとより通りやすい牌が無いかを探すことの方が重要です。多くの打ち手が安牌に窮すると無意識のうちに、「シュンツを構成しにくい外側の牌」を優先して選ぶ傾向があるので、内側の牌の方が通りやすいケースについては特に注意して確認しましょう。
本記事に関するご紹介
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