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ネマタの戦術本レビュー第370回「「統計学」のマージャン戦術 著:みーにん その10」

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 テーマ19

 点数状況やルールによって押し引き判断がどう変わるかについては、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第177178回でも取り上げました。本書では和了価値指標が示されているので、これまでは感覚で決めていた点数状況絡みの押し引きについても、どの程度までなら押せるかというより具体的な判断を下すことが可能です。
 収支戦なら半荘戦の東場では点数状況を考慮する必要はそれほどないが、天鳳の段位戦ではそうもいかないということはこれまでも主張されていましたが、和了価値指標からそのことが明確になりました。
 
 ただし、単純に段位戦というだけで失点回避優先と考えないように注意する必要があります。高打点が狙えるが先行リーチが入っていて低和了率高放銃率というケースは、和了価値指標の低さから降りに回ることが増えますが、先制良形テンパイのように元々低放銃率のものについては、余裕のあるトップ目という理由で判断を変えるほどではありません。ラス回避重視という言葉が先行して、必要以上に放銃のリスクを恐れる打ち手は少なくありません。
 また、局収支が適用しにくい局面は、誰に対して放銃するか、誰から和了するかで結果に大きく差が出るので、持ち点と残り局数からみた和了価値指標だけでは押し引きを判断できないことも多いことには注意する必要があります。 
 現在では残り局数と4人の持ち点から最終的な順位率をシミュレーションによって求めることが可能なので、この手の押し引き判断においてもある程度の目安をつけることができます。実戦中に判断するのは難しいので、実戦で起こりやすいケースに関しては予め検証されることをお勧めします。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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