今回は、リーチのデメリットの一つ、「他家の危険牌を引いても降りることができない」ことを理由の中心としてダマにすべきケースを考えます。
「押し有利」なら最初から追っかけリーチ
よく、相手の危険牌を引いた時に止めたいからダマと言われることがありますが、先制リーチ時は勿論、被先制時であっても、「途中で降りる選択」を残すためにダマにするのは損な選択です。
何故なら、「押し有利」な段階で降りるのは単純に損でしかなく、途中で「降り有利」な危険牌を引くことより、先に自分があがれることの方がよほど多く、その場合はリーチしていれば得られたはずの点数を損してしまうことになるからです。
仮に、非常に高確率で相手の待ちが読めるとしても、それを理由に、「リーチすべき手」をダマにするのはあまり有力とは言えません。
こちらで検証されているように、ドラを切ると100%チートイドラドラに放銃するという仮定を置いても、平和のみでテンパイしている場合、「ダマにしてドラを引いたら降りる」よりは即リーチの方が局収支上は有利になるのです。
実戦では様々な「ダマ寄り」になる要素があるので、「ダマにして危険牌を引けば降り」という選択が有効になるケースが無いわけではありません。しかし、そのような場合はそもそも、「押すかどうか微妙な手」であるか、「押し有利だが、リーチもダマも大差ない局面」のどちらかです。「押し有利であり、リーチすることによる打点上昇のメリットが大きい」のであれば、途中で降りることを考えるくらいなら最初からリーチをすべきです。
ダマにするのは、次の無スジを引けば「降り有利」になる場合
逆に言えば、ダマが有力なのは、「押すか降りるか微妙」であるか、「比較的安全な牌を切るので現状は押し有利だが、次の危険牌を引けば微妙~降り有利」になるケースです。
追っかけリーチした場合とベタオリした場合の期待値が同程度であれば、途中までアガリの可能性を残し、「降り有利」になる危険牌を引いたところで降りるダマの方が有利になると考えられます。
第178回で取り上げましたように、天鳳ルールでトップ目といった場合は、押すかどうか微妙な領域が結構広くなります。天鳳ルールだからといって、収支戦であれば「押し有利」な手が「降り有利」になることはあまりありません。
しかし、微妙な領域で局面に応じていかに立ち回るかが勝つために重要になるということは言えます。個別の局面で具体的にどうすべきかについては、後日機会があれば実戦問題形式で取り上げていきたいと思います。
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