第四章 リーチ
(5)「先制テンパイは手変わりを待たずに即リーチが原則」というのは、裏を返せば、「手変わりはアガリに遠い段階でみる方がよい」ということ。しかし、手牌が整ったアガリに近い段階ほど、「手変わりがあること」自体は認識しやすくなり、アガリに遠い段階ほど、何を引くか分からないから、とりあえず無難に受け入れのロスが少ない牌を切ろうという意識がはたらきがちになります。
前者については、単純にリーチを選択するだけでよく、戦績にもすぐ影響するので技術として習得するのが容易ですが、後者は選択が多岐にわたり、戦績にも反映されづらいので難しいところです。テンパイしたけれど、即リーチに行き辛い、あるいはできれば手変わりを待ちたい手牌になった場合は、「テンパイ以前に手変わりしやすいような手組にする選択はなかったか」を見直すようにすると、アガリに遠い段階でどのように手変わりをみるべきかを判断する基準が身に付きやすくなると思います。
本の内容に戻りますが、テンパイから手変わりを待つケースでもそれほど多くないのですから、アガリの状態からあがらずに手変わりを待つべきケースは更に限定的です。ただし、文中で取り上げられている手牌くらいになると、むしろこのままあがってしまうのは特にアガリ率を重視すべき局面でもなければ損でしょう。出現率自体が稀なので戦績にはあまり影響しませんが、「ダマでテンパイを維持した方がテンパイを外すより手変わりの面で有利である非単騎待ちの手牌」の場合は、アガリ牌をツモってもあがらずにフリテンリーチをする選択がないかは意識しておいた方がよいでしょう。
(6)オーラスやラス前を除き、見逃しをした方がよいケースが稀というのも、(5)で申し上げた話に通じます。ただ、題の手牌、局面なら高目がかなり高打点なので、局収支的には見逃しが損とまでは言えないでしょう。
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平和がつくので少し牌姿が違いますが、局収支的には、「リーチして安目はツモでもあがらない」という最もリスクの高い選択であっても損とは言えず、むしろ序盤は「ダマで安目が出てもあがる」だけは明確に損という結果になっています。どの選択もここまで拮抗しているとなると、「常に○○を選ぶ」と決めつけるのではなく、アガリ率と打点、どちらをより重視するかを、河や点数状況、ルールに応じて選択するのがよさそうです。「この手牌なら余程のことがなければ状況関係なくこうする」という基本をふまえつつ、境界線上の判断については、局面に応じて柔軟に選択できる打ち手を目指しましょう。
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ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。