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ネマタの戦術本レビュー第159回「フリー麻雀で食う 上級雀ゴロゼミ 著:雀ゴロK その9」

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二限目 講座2

 役牌はトイツになれば仕掛けがきくリャンメンと同程度にメンツになりやすく、コーツになれば1翻ついてメンゼンなら順子ができるより高打点が狙えます。一方端牌はリャンメンターツを作らないので、受け入れ枚数より強い受け入れ優先の観点からは、むしろ19牌より優秀と言えます。

 しかし、受け入れ枚数自体は役牌3枚、端牌11枚と大差で、鳴いた場合はリーチによる打点上昇がありません。よって、メンゼンでテンパイしやすく、打点的にメンゼンで進めた方が有利になる手牌ほど端牌残しが有力になります。

 今回は図A~図Dとも、面子候補不足(浮き牌へのくっつきでシャンテンが進む)、2面子ある(メンゼンでテンパイしやすい)、面子がいずれも順子(メンゼンで良形テンパイになれば平和がつく)と、端牌を役牌より優先するだけの要素が揃っています。これなら天鳳段位戦のような比較的リーチのメリットが小さいルールでも役牌切りが有力と判断します。

 ただし、図Cは打としてもより面子を作りやすい何らかの数牌を引けばが出ていくので、序盤なら仮にツモのテンパイを逃してもアガリ逃しになるケースは少ないため、なるべく良形テンパイでリーチが打てるようにドラがあってもを残す手もあります。中盤以降で正しい手順を踏んでいればに代わる浮き牌を持っていることが多いはずなので、このような手牌になっているのは多くの場合最序盤。そう考えると打の方がいいかもしれませんね。

講座3

 講座2の逆を考えると、面子候補十分または過多(浮き牌へのくっつきでシャンテンが進まない)、面子が少ない(メンゼンでテンパイしにくい)、面子に刻子がある(平和がつかず、コーツ手になれば役牌の価値が高まる)などが役牌を優先する要素として挙げられます。

 図Aはの価値が通常の19牌より低いというのもありますが、そうでないとしても、面子候補が足りている時点で役牌より先に切りますし、面子がないためメンゼンのアガリが厳しいことからなおのこと役牌を残します。図Bについても面子候補が足りていて1面子もないのでやはり役牌残しです。

 一方図Cは面子候補不足で2面子とメンゼンでテンパイしやすい形ですがはっきりとホンイツが見える形。の4連形からは実質2面子見込めると考えると、役牌が重なればホンイツの面子候補が揃う形。しかも役牌のみ1翻が役役ホンイツで4翻となれば打点も大幅に上がるのではっきり役牌残しが有利になります。

 図A図Bのような元々アガリに遠くあがれても高打点が見込みにくい手は、仮に役牌から切ったとしてもそこまで損をしませんが、図Cのようにアガリやすく役牌が重なれば高打点が狙える手の場合に役牌の重なりを逃すのは大きな損になります。よって配牌でひとまず字牌から切ることが癖になっている人は、字牌を切る前にホンイツの可能性が無いかを注意して確認することをお勧めします。

 図Dは1面子ありますが、悪形面子候補が多く良形テンパイにはなりにくいので、アガリトップではなくても役牌を残して切りとします。

 今回取り上げた手牌については、雀荘戦でも天鳳段位戦でも特に判断は変わりません。(「現麻本」でも役牌を残す基準について触れましたが、そちらは収支戦かつ祝儀無しを想定しています。) アガリに遠い段階における期待値を求めるのは現状でも困難なので、ルールによってどの程度基準を変えるべきかについては何とも言えませんが今後の研究課題とさせていただきます。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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