命題5
こちらも、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第92回以降の内容を御参照下さい。
「親番こそ大物手を狙うべき」については、第96回でも触れています。打点が子の1.5倍というのもありますが、アガれなかった場合もツモられるケースを除けば、子よりも失点が少なく失点する頻度も低いというのもあります。
リャンメン×2以上の1シャンテンという、メンゼンでも先制しやすい牌姿であることもスルー寄りの理由です。これが、「安手でアガリに遠い」手牌なら、子は守備を意識してスルー、親は他家からテンパイが入ってもある程度押せるので鳴きということもあります。
前回に引き続き、あくまで鳴いた手牌とスルーした手牌で比較する必要があるということがよく分かる例です。
命題6
こちらもデータとして明確になるまでは、「役牌シャボ」より「リャンメン」を選ぶ方が多数派だったように思われます。その理由の一つとして考えられるのが本書でも言及されている、字牌待ち和了率の「ブレ幅」。
人は利得局面ではリスク回避的、損失局面ではリスク追求的なので、先制テンパイという「利得局面」で、安定したアガリ率が見込めるリャンメンを選びがちということです。
もちろん、字牌待ちに関しては出アガリのしやすさに依存している以上、「出やすい」という前提が崩れれば、リャンメン待ちほどアガリやすくないと読める場合も出てきます。それでも数牌よりは使いづらい以上、カンチャン待ちに劣ることはあまりないですが、役牌の1翻程度ならリャンメンを選ぶ局面も実戦ではそれなりにありそうです。
逆に言えば、そういった情報がなければなおのこと字牌待ちがアガリやすいと言えるわけですが、そのような場は言わば「普通の場」であり、わざわざ「字牌が出やすい場」とは呼ばないことも、リャンメン待ちを選ぶ打ち手が多かった理由として挙げられるかもしれません。
打牌判断に使う要素は数値で表せる定量的なものであることが望ましいです。優劣に大差がある選択までも、定性的な情報で打牌判断を変えることは損でしかありません。しかし定量的な判断のうえで優劣が微妙であれば、数値で表すのが難しい定性的な情報でも判断の根拠になり得ます。ルールの範疇なら使える情報は何でも使う、しかし優先順位は明確につけるというスタンスで臨みましょう。
本記事に関するご紹介
平澤 元気 (著)
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