- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
7 枚数によるアガリ率
先制1種待ちリーチのアガリ率。四麻については、『統計学のマージャン戦術』に記載されています。全体的な傾向としては四麻とあまり差がありませんが、結構差がついているのは19牌と字牌。比較的アガリやすい部類とはいえ、四麻と比べるとアガリ率が落ちています。
無筋19待ちは単騎なので、カンチャンより1枚少ないですが、全体で見ると無筋28はおろか無筋37にも劣ります。四麻より牌種が少ないので、「真ん中の無筋は止めるけど端牌は押す」ということが少ない、19牌でもメンツになりやすいので他家に使われやすいというのが理由として挙げられそうです。2枚見えになると、無筋28、37より無筋19がはっきり有利。これは真ん中の牌は枚数が少なくても他家に使われやすいのでアガリ率が大きく下がる一方、端寄りの牌は使われにくいのでアガリ率が下がりにくいということで説明がつきます。字牌に至っては1枚見えより2枚見えの方がアガリ率で勝ることからもその傾向が分かります。
リャンメンごとの違い。四麻については、「麻雀数理研究会」で有料にて公表されているので、興味がある方はご購入下さい。傾向としては、四麻に比べると端寄りと内寄りの差が小さく、相対的に枚数の方が重要になっています。これも、「真ん中の無筋は止めるけど端牌は押す」という判断をされることが少ないためと言えそうです。
字牌待ちと筋待ちのアガリ率に大差ないことは個人的にも違和感を覚えましたが、「三麻はホンイツ、チートイツの割合が多く、あからさまに字牌が危険と読めるリーチも少なくない」ということで説明がつきそうです。単に筋待ちと字牌含みシャンポンの待ち選択であれば、後者を選ぶことが多いと思います。
8 テンパイ外しする場合
四麻で同様の内容が『統計学のマージャン戦術』で取り上げられていましたが、結論としては三麻も四麻も手変わり基準自体は大差ないと言えそうです。
しかし、三麻は数牌が二色なので、4連形や、4連形に匹敵する良形変化の多い形が出来やすいです。今回は4連形1つで、片側には手変わりが無いくっつき1シャンテンと即リーチの比較でしたが、4連形×2のくっつき1シャンテンであれば、牌種の少なさからも三麻の方が手変わり待ち有利になりやすいとみます。
また、数牌が二色ということは、ピンズが場に高い、ソーズが場に安いというように、色毎にメンツの作りやすさの傾向が出やすいということでもあります。一色手狙いの他家がいる場合は尚更です。場況を踏まえたテンパイ外しについても、四麻より頻度が高くなると考えます。
打点についても、今回はタンヤオでしたが三麻なら一色手への変化も多いです。ドラが多いので無理に染めないことが多いとはいえ、極端に強い手変わりがあるケースを見落とさないようにしたいものです。
ただし、天鳳位のコメントにもありますように、単純な巡目ではなく他家の速度進行に合わせること。テンパイからではなく、1シャンテン以前で手変わりを意識することの方がむしろ重要です。テンパイしたら即リーチ有利、でもそれ以前はよりリーチ有利になるような手組を目指す。このあたりは四麻でも同じですが、三麻ではより顕著になると考えます。
9 字牌待ちテンパイ
シュンツを作らない字牌は他家にとって使いにくいのもあり、字牌待ちリーチのアガリ率はリャンメンよりやや劣る程度。必然的にカンチャン待ちよりもリーチ有利になり、ダマ満貫がツモ損よりも若干リーチ有利になっています。
ただし、リャンメンほどではないにしても、ダマと比べるとリーチすることでアガリ率が結構下がります。四麻では字牌単騎に関しては巡目が早いうちはダマよりリーチした方がアガリ率でも勝ったことを踏まえると、四麻と三麻ではかなり違うと言えます。それだけ三麻は押し引きがはっきりしていて、字牌待ちでも止められやすいということ、ホンイツやチートイツは河から字牌待ちが警戒されやすいことも踏まえると、ツモ損無しならダマでも高打点のケースでダマにすることが増えそうです。
とはいえ、それでもリャンメンよりもリーチ寄りになりやすいことから、ツモ損無しはダマ満貫でも明確にリーチ有利。河込みで警戒されやすいという理由でダマにすることも少しはありそうですが、元々大差がつくケースならツモ損無しのメリットを最大限に活かしてリーチするに越したことはなさそうです。
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