- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
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第2章 最速で勝ち組になるための手作り
①KPIを設定しろ
リーチを打つ回数が少ない強者もいるので、麻雀の成績はリーチを打った回数で決まるというのはいささか言い過ぎですが、これから麻雀を学ぼうとされる方は、なるべくリーチを打つ回数を増やすことを目的とされることをお勧めします。
現在でもそうですが、麻雀の戦術書はリーチのメリットとデメリットを併記して書かれるものが多くあります。確かに間違いではないのですが、このような書かれ方をしていると、何となくリーチしたりダマにしたりするようになりがち。リーチが有力なケースの方がずっと多いのですから、結果的にリーチを打たずに損をしてしまうことが増えるうえに、どんな時にリーチを打つべきかの基準を身につけるのも難しくなってしまいます。
リーチをかけてしまえばそれ以降は同じ未来が待っているというのも見落とせないメリットです。「リーチは天才を凡夫」にすると言われることもありますが、実際は、「リーチは凡夫を天才にする」の方が近いのです。
もちろん、最速でリーチを打つ選択が常に正解というわけではありませんが、本書に「リーチはすべての基礎」とあるように、最速のリーチを打つ選択を身につけてこそ、それ以外の選択の有力性も分かるようになります。
私はリーチの有用性が今ほど知られなかった時代から麻雀を嗜み、戦術書も読んでいましたが、当時は戦術書の内容をほとんど理解することができずにいました。しかし、リーチの強さを知ってから改めて見返すと、従来の戦術書はいささか「手役作り」「読み」偏重とはいえ、中には有効なものもあるということに気付かされました。そうした経験からも、「リーチはすべての基礎」とする本書の立場に同意します。
②基本にして奥義
私が麻雀関連のブログを初めて書いた時の内容は、「第一打に字牌を切れ」でした。当時は57ページ牌姿Aくらいの手でも字牌から切り飛ばしていたと記憶しています。今なら流石に打としそうですが、字牌は「切るのに理由はいらないが残すのには理由が必要」な牌。字牌を残すメリットを十分に活かせないうちから字牌を残す癖がつくと、①で取り上げた「最速でリーチを打つ」技術が身に付きにくくなってしまいます。
「技術は重要な順に身につける。」「それより重要でない技術は、重要な技術が身に付くまで無視する。」これから麻雀を学ぼうとされる方には、このことを心構えとされることをお勧めします。ただし、「身に付く」と言っても完璧にすることにこだわって、「それより重要でない技術」が身に付かないままでいることも勿体ないですから、「実戦でノータイムでアウトプットできる」程度にまでなっていれば、本書でいうところの70点には到達しているものと考えていただければ結構です。
これだけでOK!麻雀初心者が最速で勝ち組になる方法
70点取れれば勝ち組になれる
一般的に強者と言われる人たちは
(1)自分の手牌
(2)捨牌や点数状況など手牌以外の公開情報
(3)公開情報から推測される「相手の手牌」や「残りの牌山」などの非公開情報
(4)相手の打ち筋や癖など
(5)相手の理牌や打牌のテンポなど、牌理以外の読み
といった様々な情報からどんな選択をするか決定しています。しかしながら、初心者がこれらの情報をいきなりすべて処理するのは不可能です。ではどうするべきか。初心者でも扱うことができる最小限かつ、より勝利に貢献しやすい情報のみをひとまずは考えれば良い、ということになるでしょう。
初心者の方が麻雀をする可能性のある多くのフィールド、仲間とのセット打ちや天鳳で言えば特上卓くらいまでのレベルを上限と考えた場合、その中で半分より上の実力を手に入れるには、(1)~(2)の情報があれば十分です。
したがって本書は(1)~(2)のみを用いて問題に答えています。結果としてそれは正解((3)~(5)も含めた強者たちの見解)とは違う選択であることもあります。しかしそれこそが勝ち組になるための最短ルートなのです。
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