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ネマタの手組の達人 第16回

ネマタの手組の達人 第16回

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手牌を分類すると「23322」でフォロー牌含みの1シャンテン。打とするとリャンメン+リャンメントイツ、いわゆる「完全1シャンテン」に受けることが出来ますが、打とすればツモでテンパイしなくなる代わりにツモでテンパイするので打より手広くなります。

ウザク本で言うところの、ウイング8枚形の一種とみなせます。を胴体として、を1枚加えるとリャンメンターツ。もう1枚加えてターツ+フォロー牌の形になります。2枚加えた形を翼に見立ててウイングと呼んでいるのですが、2枚ともより上のなので、言うなれば片翼です。

このように物事を認識するためには「名前」を付けるのが有効ですが、名前にとらわれて本質を見失ってしまっては本末転倒。既に対象を認識できているのであれば、見かけの名前ではなく、対象が持つ価値を評価することを意識します。打は打に比べて高め一盃口の受けが減るというデメリットがあります。また、打、打は良形テンパイの受けでは劣りますが、ドラでもテンパイするので打点面では勝ります。

一般的に、「カンチャンテンパイ」と、「5巡後のリャンメンテンパイ」のアガリ率が同程度になりますが、「完全1シャンテン」の形がリャンメンでテンパイするまでには平均で6巡ほどかかります(麻雀牌136枚から手牌14枚とドラ表示牌を引いて121枚から、完全1シャンテンの受け入れ5種20枚を割って求めた概算)。つまり完全1シャンテンとはいえ、一般的なカンチャンテンパイよりアガリ率は高くありません。テンパイしたら悪形でもほとんどの場合即リーチとされるのはこの為です。具体的なアガリ率についてはこちらを御参照下さい。7巡目のアガリ率が40%程度で、これは8巡目のカンチャンテンパイのアガリ率に近く、2巡目なら60%近くアガれて、8巡目のリャンメンテンパイのアガリ率に近くなります。

完全1シャンテンはカンチャンテンパイほどアガリやすくないとはいえ、多少劣る程度であることを踏まえると、「完全1シャンテンと同程度にテンパイしやすいのであれば、悪形でテンパイする受け入れがあることはほとんどメリットにならない」とも言えます。実は今回の手牌で最もテンパイしやすいのは打ですが、ツモはシャンポンテンパイ。アガリ率では打が勝りますが、ツモが3メンチャンになるのでそれほど差はつかないかもしれません。

また、打が最もアガリやすいと言っても、打より受けが2枚多いだけなので、一般的なカンチャンテンパイに比べればまだ劣ると言えます。アガった時の打点がリーチドラ1止まりのケースもあるので、どちらかと言えばドラや高め一盃口の高打点受けが残る選択に分があるとみました。高打点の受け入れが残る選択同士なら、良形が残る受け入れを優先するので打>打とみて、私なら打とします。

今回はMリーグの朝倉康心プロの対局で出現した牌姿から取り上げましたが、何切る問題としても昔から頻出の形。一昔前に同様の牌姿で、単にテンパイする受け入れが多いからアガリやすいと書いてある記述を見て突っ込みを入れたくなったものです。

しかし、単に形だけでこれ切りと決めていると、似て非なる手牌に対応しづらいもの。テンパイチャンス、テンパイ時の待ちの強さ、打点、手変わり…と一つ一つの要素を比較しようとすると、見落としも増えてミスが増えがちです。

そこで私は、打点や待ちの強さ込みの手牌の価値を予め覚えておいて、「より価値の高い手牌になる受け入れ」を優先するようにしています。今回の手牌であれば、より高打点になる受け入れで打に勝り、より良形になる受け入れで打に勝るので打という発想です。

もちろんこのやり方だけでは、手牌ばかりに気を取られて局面の変化を見落とし、独りよがりな手組になりがちなのでそこは注意が必要です。そのあたりはまさに私が苦手とするところですが、手牌だけの判断が素早く出来るようになれば、その分局面の変化にも意識を回すことが出来るようになるので、これまでも何度となく触れてきたことですが、「より良い受け入れ優先」という発想を是非とも意識してみて下さい。

次回の問題

 ドラ

ピンズで鳴く牌はいくつありますか?

 

 

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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