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第84回 ネマタの麻雀徒然草

第84回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

 戦術本『麻雀の2択』のレビューを始めさせていただきました。こちらでは本書で取り上げられている、「データの泉」を元に思うところを徒然なるままに書かせていただきます。データの具体的な数値については、是非とも本書を購入のうえ御確認下さい。

「データの泉」38p

 「裏スジは(他の無スジと比較して)危険ではない」ことを示したのが『科学する麻雀』でしたが、本書では「遠い裏スジ」については危険になることが示されました。特に元々通りやすい端牌であるほど、同じ数字の他の無スジと比べて放銃率が高くなる傾向があることが分かりました。

 『科学する麻雀』は私の麻雀観に最も大きな影響を与えた本と言ってもよいですが、「裏スジは危険でない」というセオリーに関しては、取り立てて衝撃を受けたということもありませんでした。確かにそれ以前の戦術書は何かと「裏スジ」という言葉が用いられていましたが、当時私が読んでいた戦術書に限って言えば、他の無スジと比べて特別危険になるという主張がされているわけではなかったからです。

 「裏スジ」のような呼称について今一度おさらいします。河にが切られている場合、が現物、がスジ、が裏スジ、がまたぎスジになります(ちなみには「疝気(せんき)スジ」と呼びます)。単に「無スジ」と呼ぶ場合は、裏スジ、またぎスジも含めた、「リャンメン待ちに当たる可能性がある牌」を指しますが、裏スジ、またぎスジに対応して「無スジ」と呼ぶ場合は、裏スジやまたぎスジにならない、「関連牌が切られていない、リャンメン待ちに当たる可能性がある牌」を指します。

 「裏スジは危険でない」という主張に寄せられた反論の一つとして、「裏スジが危険になるのは序盤の手出し牌」というものがありました。これも「裏スジでない無スジ」との比較では否定されましたが、発話者のニュアンスとしては、「序盤のまたぎスジは安全になるので、その分裏スジは相対的に危険になる」くらいの意味合いで、「裏スジでない無スジ」との比較で危険というつもりではなかったのかもしれません。

 そもそも「裏スジは危険」という言葉も、「マンズ待ちなら裏スジのが本線」というように、ノーヒントの無スジとの比較ではなく、一色の中では危険牌の候補であるという意味合いで使われることが多かったように思われます。

序盤でが切られているのであれば、よりは待ちの可能性が高いと言えるので、これなら読みとしては間違っていないと言えます。

 しかし、これでは結局他の色については危険牌を絞れないので、読みとしては間違っていないというだけで、あまり役には立ちません。「結局何が当たるのか全く絞れないのだから、裏スジとか考えても仕方がないじゃないか。」当時の私の率直な気持ちでした。

 『科学する麻雀』を読んで衝撃を受けた理由。それは従来の読みが否定されていたからではなく、「どのような手牌であれば押した方がよいか」という、誰しも知りたかったはずの基準がシンプルに示されていたからでありました。確かにそれまでの戦術書も「待ちが良くて打点が高ければ押した方がよい」ということは書かれていましたが、どの程度の手までなら押してよいかという具体的な基準については結局取り上げられておらず、ややもすれば、「一見よい手だがそれまでの展開が悪いからオリ」というようなオカルトが交わることも少なくありませんでした。

 戦術書となるとどうしても、内容が正しいかどうかの話になりがちですが、初心者向けとしては、「結果に影響しやすいうえに出現頻度も高い技術について簡潔にまとめられている」。経験者向けとしては、「その打ち手にとってそれまで無かった発想、価値観に気付かせてくれる」本こそが、名著と呼ばれるにふさわしいのではないかと思うことでした。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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