戦術本『麻雀の2択』のレビューを始めさせていただきました。こちらでは本書で取り上げられている、「データの泉」を元に思うところを徒然なるままに書かせていただきます。データの具体的な数値については、是非とも本書を購入のうえ御確認下さい。
「データの泉」167p
鳴き手は打点が予想しやすいという話を前回しましたが、テンパイしているかどうかに関しても手順によって判断できることが少なくありません。本書でも終盤のテンパイ率が中盤と変わらないのは降りているケースも含まれるからとありますが、人は明らかにテンパイしていなさそうな仕掛けに関しては無意識のうちに除外して判断しているものです。よって、「テンパイしてそう」に見える2フーロについては、このデータ以上にテンパイ率が高いと判断してよいでしょう。 テンパイ率についてはフーロ数だけでなく切られた牌や同卓者の打ち筋にも左右されやすいです。本書でもドラを切っている人のテンパイ率が高くなることは示されていますが、仮に「テンパイまでドラを切らない」という取り決めを必ず守っている人が打っているとすればテンパイ率は100%になります。
むしろ、本書で示されている、8巡目2フーロでドラを切っている他家のテンパイ率が57%というのはかなり低いと感じた方も多いと思います。これも単に「ドラ」というだけで判断している為。タンヤオ仕掛けのヤオチュウ牌のドラ、ホンイツ仕掛けの他色のドラであれば、ドラを切っているからといってテンパイ率が高くならないことは明白です。むしろそのようなケースを含めたうえでこの値なのですから、その仕掛けにとって使いやすく、なるべく使いたいはずのドラが切られたとなれば、テンパイ率は相当高いとみるべきでしょう。
鳴き手については特に個別の局面の影響を受けやすいですが、かといってあまり細かくデータを取ろうとすると、十分なサンプル数が取れなくなるという問題点があります。第87回の繰り返しになりますが、「木を見て森を見ず」「森を見て木を見ず」どちらにも陥ることがないように、今問われているのは全体の話なのか、個別の話なのかは意識して聞き分けるようにしたいものです。