戦術本『麻雀の2択』のレビューを始めさせていただきました。こちらでは本書で取り上げられている、「データの泉」を元に思うところを徒然なるままに書かせていただきます。データの具体的な数値については、是非とも本書を購入のうえ御確認下さい。
「データの泉」189p
配牌の平均シャンテン数は3.5と言われていたこともあります。これは日本麻雀連盟(第2回で取り上げた、伝統的なアルシアールルールを採用している団体です。)で数千局のゲームから統計を取った時のものだそうです。
本書との差はサンプル数の少なさから来る誤差というところでしょう。本書では天鳳の牌譜データを参照していますが、ランダムに配牌を取り出すシミュレーション1億回でも、全ての配牌の組み合わせ(実に約985億通り!)を計算した「理論値」でも、本書とほぼ同じ結果が得られています。
配牌のシャンテン数別アガリ率については、オンライン麻雀「MJ」のデータから調べることが出来ます。そのデータについては、『おしえて!科学する麻雀』でも取り上げられているのでよろしければ御参照下さい。
しかし、第95回のチートイツ1シャンテンのアガリ率の低さからも見てとれるように、シャンテン数が同じでも、メンツが出来やすいかどうか、鳴いても役があるかどうかで大きく変わることが予想されます。よって、このデータを元に手作りに関する戦略を組み立てるというわけにはなかなかいきません。
第83回より、本書で取り上げられた様々なデータを見てきました。これは私だけかも知れませんが、単にデータを見るだけでも面白いと改めて感じさせられました。そのうえで、アガリ率、放銃率といった局の結果に関するもの、中でも実戦でも出現することが多い個別の手牌に関するデータであれば、戦術上活用しやすいこともあり、なおのこともっと知りたいとも思わされました。
数字ばかりのデータを見るのはどうしても苦手と感じる方も多いのかもしれませんが、そもそも麻雀自体が数字を組み合わせて得点を競うゲーム。「麻雀が好きである」という時点で、こうしたデータに興味を持ち好きになる素質が十分あるのではないでしょうか。基本的な手牌に留めても、題材になるものはまだまだ沢山あります。本書『麻雀の2択』が、問題を入れ替えてシリーズ物として定期的に出版される。そんな日が来ればいいなと心より思うことでありました。