包が適用される役満は大三元、大四喜のみとするのが一般的であるとお話しましたが、 日本で初めて包に関するルールについて言及された昭和27年時点で、包が適用されるのは大三元、大四喜であると記載されています。
現在のリーチ麻雀のベースになっているアルシーアル麻雀では、四槓子を役として採用していません。よって当時のルールに関する記述で、四槓子に関して包を適用するかどうか言及されていないのは当然といえば当然です。
しかし、四槓子という手役が当時存在しなかったわけではありません。実は昭和22〜23年頃は、1人で4回カンをして、嶺上牌をツモった後の打牌が他家のロン牌でなければ、雀頭を揃えることなく四槓子が成立。四槓流れの特殊ケースとして役満扱いとされていました。
▼歴史および原義の四槓子
私はてっきり、四槓子があまりにも難易度が高いから、雀頭を揃えなくても役満扱いとするローカルルールが後から出来たものと思っていたので、実はこちらこそが原義だと知った時は驚かされました。
4つ目のカンが成立した時点で役満扱いとするルールであれば、 ミンカン ミンカン をカンして三槓子となれば四槓子が警戒され生牌が切られづらくなりますし、他家がカンして四槓流れになる恐れがあるので、あえてこのままカンしない選択が有力になります。この形は言うなれば待ちが1枚とはいえ役満をテンパイしているようなものです。
このテクニックは昔の麻雀漫画で何度となく取り上げられている、いわば陳腐なネタ。4つカンした時点で役満成立というルールも今ではほとんど見かけなくなりました。
カンドラ、カン裏まである現行のルールにおいては、カンはリターン以上にリスクが大きい選択。ただでさえ難易度が高いうえに、狙おうとする選択自体が損になりやすいことを踏まえると四槓子はまさしく幻の役満。九蓮宝燈が9メンチャンでなくてもよくなったり、数え役満や各種ローカル役満が採用されたりと、時代を経るにつれて役満の出現率が高くなるようなルールが好まれる傾向があるのですから、四槓子についてもカン4つの時点で成立というルールが再度浸透してもよかったように思いますが、「インフレルールは好きだけど、やたらカンが入って場が荒れるのは嫌」という人が多かったからかもしれませんね。