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第150回 ネマタの麻雀徒然草

第150回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

責任払いが適用される役についてもルールによって様々でしたが、他にも色々細かい取り決めをしておく必要が生じます。大ミンカンからのアガリに責任払いを適用するなら、嶺上ツモにツモ符の2符がつくのかどうか。役満の包を適用するなら、ダブル役満以上のアガリになった時の支払いをどうするか、積み棒をどのように支払うのか、役満祝儀があるなら祝儀は誰が支払うのか…といった具合です。

例えば大三元、大四喜、四槓子の包、大ミンカンの責任払いを採用するとして、前回のように下家が発を切ったところで大三元が成立。そこに上家が東を切ったら大ミンカン、嶺上牌から西をツモって字一色、大三元、四槓子のトリプル役満のアガリ。アガった人が子で、1本場だとした場合、どのように支払えばよいのでしょうか…頭がこんがらがってきました。

包が採用された頃は役満の複合ルールが無く、時代を経るにつれ新しいルールを導入した結果、ルールの整合性を取るのが難しくなった一例と言えます。滅多に起こらないこととはいえ、こういった問題を解決するうえでも、責任払いに関するルールは全て採用しないとするのが望ましいと個人的には考えます。

とはいえ、第82回でも取り上げましたように、こういったルールの妙が麻雀漫画における闘牌を面白くしてきたというのも事実。大ミンカンの責任払いは昔ならアカギVS市川戦ですが、最近(とはいえもう10年前の話ですが)では「咲 -saki- 」の大将戦。から大ミンカン。リンシャンからをツモってアンカン、更にリンシャンからをツモってアンカン、更にリンシャンでをツモり、チンイツトイトイ三アンコ三カンツ嶺上開花赤1の数え役満責任払いで大逆転というシーンが一躍有名になりました。「三連開花、(純正)四連刻、五筒開花、推不倒」というローカル役満まで組み込まれているところに、作者のこだわりが感じさせられます。

役満の包については、と鳴いている打ち手が打。役満は諦めたのかとを切ったらその打ち手がを鳴き返し、ツモアガリして責任払いを負わせることに成功…というのはあまりに使い古された陳腐な闘牌であるようで、片山まさゆき氏が麻雀漫画の巻末で「昔の麻雀漫画あるある」という形でネタにされていました。

その片山氏の代表作「ノーマーク爆牌党」第1巻では、鉄壁が爆岡から親のチンイツドラ3の倍満を直撃。最早勝負は決まったかと思った次局、大介がをポンして雀頭のホンイツ小三元待ち。ここに爆岡がを切ってリーチ。ポンすれば役満テンパイになるものの、に受けてもに受けてもフリテン。ポンの声を一旦飲み込んだ大介でしたが、鉄壁がを合わせ打ったのをポンしてフリテンでツモアガリ。鉄壁の包になってしまい、次局は大介が爆岡に三倍満放銃。まさかの爆岡逆転勝ちというシーンが登場します。

日本麻雀連盟ー競技規定

包に関する取り決めから起こる理不尽な結果をネタにしたものでしたが、実はアルシーアル麻雀の競技団体、日本麻雀連盟では、前者のケースは包が適用されず、後者のケースは鉄壁ではなく爆岡が包の対象となります。漫画でネタにされるような滅多に起こらないケースに関する取り決めがあったことに少し驚かされました。また、役満が役満貫の略で、アルシーアル時代は役満が満貫相当だという話を以前取り上げましたが、このルールでは大三元、大四喜以外に、トイトイ、場風牌、自風牌、三元牌×2(あるいは字牌を4つ鳴いて役牌で3翻あれば字一色でなくても、ホンイツ、トイトイ、役牌×3)で「満貫」に届くので包が成立します。

麻雀の競技化を進めるうえでも、整合性の取れた統一ルールを導入すべきというのはもっともな話ですが、こういった蘊蓄を垂れるのが好きな一介の麻雀打ちとしては、それとは別に、様々なルールを想定することができるのも麻雀の大きな魅力であるということをお伝えしたいと思うことでした。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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