三色同順(三色同刻)がリーチ麻雀が普及してから採用されるようになった役であることはお話しましたが、一盃口(二盃口)もリーチ麻雀になってから採用されたものです。メジャーな1翻役に比べれば出現率が低く、かといって珍しくもないので、日本麻雀の手役の中で最も地味かもしれません。
しかしタンピン手も、一色手やトイツ手も難しいパッとしない手牌が、リーチツモ一盃口ドラで満貫に届いたりもするので個人的には一盃口はかなり重要な役だと思っています。
それに対して二盃口は、見た目こそ美しいものの手役としてのコストパフォーマンスは最低の部類。4枚使いが無い限り二盃口はチートイツの形でもありますが、二盃口がダマ出アガリ5200なのに対して、チートイツドラドラはダマ出アガリ6400。いっそチートイツが複合しているものとみなして、2翻増しで二盃口を5翻役にしてもよさそうなものですが、ただでさえ難易度の割に安い二盃口が、3翻でなく2翻止まりとするルールもあります(101競技連盟など)。以前紹介した、二盃口を2翻役。代わりに清盃口という、二盃口の2組の数字が一致したものを3翻役として採用するローカルルールもあります。
一盃口との兼ね合いでルールのうえでは自然ではありますが、鳴くと不成立というのも厳しいところ。同じく効率の悪い三色同刻のように、「1翻縛りを解消する」という役割も事実上持ってません。鳴いても食い下がりで2翻というルールがあってもよさそうなものですが、鳴き一盃口を認める(多くの場合三麻なので、一盃口部分は鳴けませんが)ルールは聞いても、鳴き二盃口があるルールは不思議と聞きません。食い下がりの概念が無い中国麻将では、一盃口(一般高)はあっても二盃口はありません(一般高×2扱い)。
第274回で三色と一通の両天秤、「黄金の1シャンテン」を取り上げましたが、三色は二盃口との両天秤にもなります。のような牌姿です。三色と一通が黄金なら、こちらはさしずめプラチナでしょうか。しかしこんな美しい形でも1シャンテンは1シャンテン。アガれなければ徒花に終わってしまうということは重々承知していなければ、勝ち味の薄い麻雀になってしまいます。