イーシャンテンについて考えていたところ、「そもそもシャンテン数はどうやって数えるの?」という質問をいただきました。
放送対局や配信をみていると、「これでリャンシャンテン」「イーシャンテン同士の戦い」などと耳にしますが、どう把握しているのか気になりますね。
シャンテン数は、テンパイまでに必要な有効牌の数のこと。あと一つ有効牌を引けばテンパイするならイーシャンテンといい、漢字では「一向聴」と書きます。
同様に、テンパイまで二つ有効牌がいるならリャンシャンテン(二向聴)、三つならサンシャンテン(三向聴)、、、です。
シャンテン数は、手の進行を考えるほかに、押し引きでも重要になります。
例えば、他家のリーチを受けたときに、「自分がリャンシャンテン以下なら原則としてオリる」という判断基準は有名です。相手は既にテンパイなのに、自分はリャンシャンテンからイーシャンテン、さらにテンパイするという狭き門をくぐってやっと互角の戦い。その間に危険牌をいくつも切ることになり、かなり不利なため、という理由です。
このような判断を的確に早くするためにも、シャンテン数の数え方を覚えておきましょう。
よく知られているのは、以下の「8点法」という方式です。
1)手牌のなかで、3枚で完成した面子(順子か刻子)があれば2点とする
2)あと1枚で順子になるターツ、あるいは対子があれば、1点とする
3)すべての点数を足して、8点から引く
4)引き算の答えがシャンテン数
で考えましょう。
完成している、、は各2点、ターツのは1点です。
合計すると、2+2+2+1=7点。
8から7を引くと1。
よって、イーシャンテンです。
もし次にを引いてを切ると、のトイツができて1点増え、8点になります。8-8=0でゼロシャンテン、つまりテンパイですね。
8点法は、ちょうと8点になるとテンパイと考え、「今は8点に何点足りないか?」を数える方法です。
はどうでしょうか。
まずは2点ですね。
は1点。
は、ちょっとややこしそうです。が、どう分けても点数は一緒なのでご安心ください。
で1点、あるいはのどちらかで1点ともとれますし、
で1点、で1点と考えてもOKです。いずれにせよ、合計2点ですね。
は、で1点としても良いですし、で1点ともとれます。
あわせて考えると、マンズで2点、ピンズで1点、ソーズで1点、字牌で2点で、2+1+1+2=6点。
8から6を引くと、リャンシャンテンだとわかります。
バラバラのときはどうでしょう。
、、が1点ずつ、合計3点なので、8から3を引いて5。五向聴だとわかります。
足し算と引き算で出せるので、シンプルで良い方法ですね。
ただし、残念ながら例外もあります。
例外の1つめは、6ブロックある場合。
足し算すると、2+1+1+1+1+1=7点。8-7=1だからイーシャンテン、、、ではないですよね。
アガリ形は、アタマ+面子4つの5ブロックなので、アガリに使わない6ブロック目に点数をつけるとおかしくなってしまうのです。
8点ルールの計算に使えるのは、5ブロックまでになります。
そのため、どれか1つのブロックをカウントせず、2+1+1+1+1=6と計算します。つまり、リャンシャンテンです。
例外の2つめは、5ブロックを抜き出してもアタマがない場合です。
ルール通りだと2+1+1+1+1=6点で、一見リャンシャンテンですね。
ただ、このあとと有効牌を2つツモって、と落としても、次のようになってテンパイしません。
ここからアタマを作るために、さらに有効牌を1つツモる必要があります。つまり実際はサンシャンテンだったのです。
計算方法としては、いったん 2+1+1+1+1=6点 としたうえで、アタマがないときは1点マイナスして5点.。だからサンシャンテンだ、と考えます。
なおここまでの話は、普通の手の場合です。
そうでない形、国士無双とチートイツは異なります。チートイツでは、トイツが6つできたらテンパイなので、逆算してトイツが5つならイーシャンテン、トイツが4つならリャンシャンテンになります。
「麻雀ウォッチ」のこれまでの記事では、「ネマタの麻雀講座」で、シャンテン数の回があります。上記の方法とは違うアプローチですが、参照して、ご自身にあった方法を身につけていただければと思います。
余談ですが、私がシャンテン数のカウント方法を初めて目にしたのは、「大型コンピューターがはじきだした!麻雀の常識を破る本」(二見書房)という本でした。1982(昭和57)年の出版で、今から約40年前。表紙のイラストや帯のデザインはいかにも昭和を感じさせます。
著者は、朝日新聞社の電子計算室長らで作る「朝日ゲーム・サイエンス・クラブ 」というグループです。当時、同社が導入した最新鋭大型コンピューターを使って、麻雀の科学的な分析を試みています。確率や期待値を中心に考えるアプローチは、現代麻雀に通じる点もあります。今もアマゾンなどで古本が買えるようなので、ご興味がある方はご覧ください。
この本では、シャンテン数の数え方はP65~に載っており、さらに、配牌時のシャンテン数をシミュレーションして、最初の13牌では、次のような確率になると計算しています。
テンパイ 0.0%
イーシャンテン 0.6%
リャンシャンテン 7.9%
3シャンテン 32.6%
4シャンテン 41.9%
5シャンテン 15.7%
6シャンテン 1.3%
平均 3.6シャンテン
つまり、多くの場合3シャンテンか4シャンテンで、リャンシャンテン以上の配牌だとラッキー。
逆に5シャンテン以下だと、かなり後手を踏むので、無理にアガリを狙わすにいく戦術、いわゆる「配牌オリ」が推奨されています。
現代では、インターネット麻雀で数多くの局数を分析できます。各種のデータをみると、配牌時の平均シャンテン数は3.58前後とされていますので、上記の平均3.6シャンテンは、いい線をいっている気がしますね。大ざっぱな目安としてご参照ください。配牌で4シャンテンぐらいの状態が続くと、「なんだか手が悪いなあ」と感じるかもしれませんが、確率的には普通で、そんなに恵まれていないわけでもない、といえそうです。
今回の話題を踏まえて、次回はイーシャンテンについて考えます。