よく分からないが、何か変わったことが起こっているーー。
私たち記者は、小さなきっかけで、取材先の異変に気づくことがあります。
ふだん朝9時前に席にいるはずの人物の姿が見えません。よく見ると、まわりの部署の幹部もみんな不在です。
知り合いに、電話します。
「もしかして、昨日の○○を受けて、緊急会議が開かれていたりしますか?」
こうやって、取材が始まります。
「ふだんと違うこと」は、あらゆる気づきの元になります。
例えば、いつもは朝から元気な家族が妙に静かなら、体調が良くないのかな?と感じるでしょう。
麻雀卓の上でも、「ふだんと違うこと」は、大きなヒントになります。
例えば、「本来その人にとって価値のある牌を早々に切っている」のは、貴重なサインですね。
「東場の親が一打目からを切る」「早々にリャンメンターツを落とす」「ドラをあっさり切る」などは典型的なケースです。それを切っても困らないほど、別の価値(打点が高い、手が早いなど)があることを意味します。
これは、2022年1月4日のMリーグ第2試合の一場面です。
小林剛プロが、ドラのを続けて切っているのが目立ちますね。
そのうえで、手出しでを切ってリーチです。
(この公式牌譜ビューアーでは、手出しの牌は白色、ツモ切りの牌は黄色で表示されます)
つまり、はドラよりも最後まで残したかった、手作りに必要な牌だったということです。
ということは、はポツンと浮いた孤立牌ではなく、周囲の牌があるはずです。
からを切った待ち
からを切った待ち
などが候補になるので、まわりの牌は危険といえます。
実際には、を引いてを切ったタンキ待ちのリーチでした。ちょっと珍しいパターンでしたが、やはりの周辺が危険でしたね。
手の中にドラが2枚あって打点があるので、ドラのやは惜しくなく、それよりはアガリへのスピードを優先したわけです。
狙いは見事に当たり、小林プロはリーチの2巡後にをツモり、リーチ・ツモ・ドラ2で親の満貫に仕上げていました。
上記のイーシャンテンで、もしをツモると、切りリーチで待ちはになるため、リーチ宣言牌の周囲が必ず当たるわけではありません。
自分が勝負できそうなら、の周囲でも臆せず切っていくべきですが、とはいえ上記のような形では、宣言牌の周辺はかなり要注意だといえます。
同様に、典型例として有名なのは、
「を切って、間に何か切った後にを手出しで切ったリーチはが危ない」
というセオリーです。
ふつう、のカンチャンターツを落とすなら、を先に切ることが多いですね。
を残してを引けばリャンメンターツになりますし、を引く期待もあるからです。
つまり、→の順で切る時点で、ちょっとした異変なのです。
もし、を続けて切ったのなら、単純に不要なカンチャンターツ落としで、危険度の高いを先に切っただけかもしれません。
また、もしが他家への確実な安全牌であれば、最後までを残すこともあるでしょう。
しかし、そうではないのにを最後まで持っていたとすれば、
の形からを切って
とし、
さらにを切って、手の中にがあるのでは?と推測できます。
つまり、最終形がと何かのシャンポン待ちになっている可能性があり、は危険牌になるのです。
これがもし、
「を切って、間に何か切った後にを手出しで切ったリーチ」
であれば、話は全く変わります。はのスジで、比較的安全牌だといえるでしょう。
ほとんどの場合、リーチの待ちを読むことはできませんが、このように、ちょっとした切り順の違いで推測できるケースもあります。
本質的には、手出しのリーチ宣言牌は、「何か役割があるから最後まで持っていた牌」です。
具体的には「安全牌を残していた」「手作りに必要だから持っていた」「打点上昇のタネだから持っていた」などの理由ですね。
よい練習方法は、打っているときに、他家のリーチ宣言牌に注目してみることです。後に、牌姿が分かったときは、宣言牌と見比べてみて、なぜその宣言牌が最後まで残っていたかを考えてみましょう。様々なパターンが浮き上がってくると思います。
次回は、「高そうな他家の鳴き手への対応」をご紹介します。