日本将棋連盟の鈴木大介九段が5月5日に日本プロ麻雀連盟に入会、5月11日にコナミクリエイティブセンター銀座で記者会見を行った。
記者会見には日本プロ麻雀連盟の森山茂和会長とともに出席した。
理事退任のタイミングで麻雀プロとの二刀流へ
子供の頃から趣味の一つとして続けていた麻雀だったが、2019年に麻雀最強戦で優勝したことで、憧れだったプロの舞台に興味を持ったという。
ちょうどその頃にMリーグが発足し、よりいっそう麻雀プロへの熱意が増していた。
当時は日本将棋連盟の常務理事だったため、両立が難しく諦めていたが、2023年6月で常務理事の任期が終わるため、このタイミングで”将棋”と”麻雀”の二刀流を決断した。
麻雀プロ団体の中で、日本プロ麻雀連盟への入会を決めた一番の理由として、「モンド杯」の頃から大ファンで尊敬している佐々木寿人、滝沢和典の存在だった。
せっかくプロになるのであれば、彼らと同じ舞台で戦いたいという気持ちがあり、知人や仲間の棋士などにも相談して入会を決めた。
森山会長によると、4月に入会面接があり合格となったが、段位や所属リーグについてはまだ未定だという。
麻雀プロも唸らせる実力者|鈴木大介九段の強さの秘密
将棋はもちろん、麻雀もできる限り大会に出場したい
将棋はこれまで通り順位戦含め指していくが、麻雀についてもリーグ戦含めて、参加できる大会はすべて出場する意向だ。
憧れの舞台である「Mリーグ」についても、もし声がかかるのであれば出たいという気持ちがある。
「麻雀プロになって将棋の成績が落ちるというのはプライドが許せないので、将棋はいままで以上の成績を残さないといけない。将棋1本でマンネリ化することが怖いので、麻雀プロになることで将棋への刺激になればいい」
と二刀流への意欲は高い。
追随する麻雀プロ志望の若手棋士も
プロ入りに際しては棋士仲間にも相談したが、鈴木九段のチャレンジに対してみな好意的な意見だったという。
若手棋士の中には、鈴木九段に続いてプロ入りしたいという声があるそうだ。
将棋界では以前から森雞二九段や先崎学九段などが雀豪として知られているが、阿久津主税八段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段などトップ棋士の間でも愛好家が多い。
囲碁・将棋チャンネルでは、 麻雀王決定戦が定期的に放送されている。
鈴木九段は、かつて故村山聖九段や先碕九段と三人麻雀をよく打っていたという。
逆境こそ「読み」を重視して巻き返す
自身の雀風を「相手の待ちを絞り込んで読みを重視する麻雀」と評価する。
「将棋は1対1で勝つか負けるかなので、麻雀でも2着、3着を狙いにいかない、苦しい状況でもトップを狙いにいく麻雀です」と、逆境で数少ないチャンスをものにしていくところを見てほしいという。
棋士といえば常人では考えられないような記憶力というイメージがある。
鈴木九段は「自分は人並みの記憶力」と謙遜するものの、捨て牌、特徴的な手出しツモ切り、手牌のどこから何が捨てられたか、相手の所作など、かなり記憶していることだろう。
最強戦などの放送対局で見せる、トップ目でもリーチに対して無筋を切り飛ばす、放銃を恐れない打ち筋は、視聴者にはわからない、鈴木九段の読みに基づく根拠ある打牌に違いない。
逆境こそ、突破口を見つけるためのプロセスとして、その局面のすべてを読み切るということもあるというが、すべてを読むのは半荘1回で疲れてしまうので、将棋と同様にペース配分を大事にしているそうだ。