九段の段位を持つプロ棋士で、2023年まで将棋連盟常務理事を務めた鈴木大介九段。鈴木九段は将棋だけでなく、麻雀の強さでも注目を集めている。2019年には麻雀最強戦の最強位に輝き、その実力を世に知らしめた。鈴木九段は将棋の先を読み、相手の詰みに持っていく戦法や経験は、麻雀にも活かせると語っている。
2023年に日本プロ麻雀連盟への入会を発表し、その直後に開催された2023-24Mリーグドラフト会議にて、新チーム「BEASTJapanext」に指名されMリーガーとなった。
鈴木九段の麻雀の強さの秘密とはいったいどこから来ているのか。これまでの経歴や人物像からひも解いていく。
目次
鈴木大介九段の基本情報・プロフィールデータ
名前 | 鈴木 大介(すずき だいすけ) |
生年月日 | 1974年7月11日 |
職業 | プロ棋士 |
出身地 | 東京都 |
趣味・特技 | 麻雀 |
SNS | Twitter Youtube |
主なタイトル・出場大会 | 2019麻雀最強位 |
経歴
1996年:勝率第一位賞|連勝賞|新人賞
1996年:早指し新鋭戦優勝
1997年:敢闘賞
1999年:第49回NHK杯戦優勝
2004年:升田幸三賞
2017年:九段昇段
2019年:麻雀最強戦優勝 最強位に
2023年:日本プロ麻雀連盟入会、2023-24Mリーグドラフト会議にて「BEASTJapanext」の指名を受けMリーガーに
鈴木九段は将棋界で活躍しているものの、タイトルには恵まれてこなかった。その鈴木九段が2019年麻雀最強戦に出場。この大会で惜しげもなくその強さを発揮して見事優勝し、最強位のタイトルを獲得した。この2019麻雀最強位が、鈴木九段の初タイトルとなる。2023年5月11日、日本プロ麻雀連盟入会を発表し、将棋棋士と麻雀プロの二刀流にチャレンジする。直後の6月30日にはMリーグの新チーム「BEASTJapanext」にドラフト指名され、Mリーガーとして戦うこととなった。
鈴木大介九段の活動
鈴木九段は将棋連盟常務理事として、将棋界の発展に尽力している。日本将棋連盟のYouTubeチャンネル「将棋倶楽部24」にてオンライン指導対局も実施している。自身の手の進め方に対して、解説を交えて進めていくので、棋士にとっては参考になる内容だ。また、サイバーエージェントの藤田晋社長との交流もあり、ABEMAで将棋番組の配信もスタートさせ、将棋界の認知向上のきっかけを作っている。
鈴木大介九段と麻雀
鈴木九段が麻雀をはじめたきっかけは、棋士になるときに付き合いで覚えたと語っている。また、鈴木九段は将棋界でも常務理事を務めるほど活躍しているが、麻雀界でも脚光を浴びている。その実力は、近藤誠一も「鈴木大介さんが強くて参りました」と述べるほどだ。2019年麻雀最強戦最高位に輝いた鈴木九段だが、その強さや打ち方とはどのようなものなのか。詳しくみていこう。
鈴木大介九段の麻雀の実力-強さ-打ち方
鈴木九段は当たり牌を止めるビタ止めが得意だと語っている。それはどういうことなのか。棋士の経験から、相手の戦法や打ち方を読む力に優れ、的確に相手の当たり牌が読めるというもの。その読みの力はすさまじく、過去には相手の牌すべてを言い当てた経験もあるというほどだ。また、鈴木九段は雀鬼会にも所属していた。雀鬼会では教えを守り、利き腕を前に出して相手の所作を見て読みに活かす鍛錬と、丹田(臍(へそ)下の下腹部)に力を込め自分の芯を作ることを大切にしてきた。鈴木九段はこれが勝つコツだと語る。自分の芯を持ち、自分の読みを信じ、自分の読みと心中する覚悟で打つという。将棋で培った読みと自分の芯をつらぬく覚悟が、鈴木九段の強さの秘訣と言えるだろう。
鈴木大介九段の対局時の様子
麻雀最強戦2019ファイナル|2019.12.14
鈴木九段は序盤から好調で、高い手こそなかったが東場を38,500点のトップで終えた。南場に入るといきなり激戦となる。鈴木九段が配牌からダブ南の早い仕掛けに対して金子が聴牌、近藤がドラ3の3人聴牌。なんとか鈴木九段がこの場をツモアガリで切り抜けた。続く南2局で鈴木九段の読みの鋭さを発揮。金子のリーチに対して、無筋の牌をどんどん通していく。まわりから見れば無筋だったかもしれないが、鈴木九段から見たら根拠のある打牌だったのだろう。ここでも鈴木九段は窮地を乗り越え、最後までトップを維持。オーラスで近藤から七対子をアガり、見事に初のタイトルとなる最強位を獲得した。
将棋棋士の鈴木大介九段が怒濤の攻めで最強位を勝ち取る!/麻雀最強戦2019ファイナル
麻雀最強戦2021 著名人最強決戦|2021.5.15
二度目の最強戦勝利を目指す鈴木九段。勝者の1人しかファイナルに進めないため、トップで勝つことが必要な対局だ。鈴木九段は東3局で供託3本の場面に、リーチ一発ドラ1で高打点を重ね、東場をトップで終えた。南場に入っても勢いは衰えない。南2局でアガり、さらに次局の南3局では、嶺上開花でアガって持ち点はなんと74,000点を超えた。その後1度放銃するも、この圧倒的な差を覆されることはなく、鈴木九段がファイナル進出を決めたのだった。
怒涛のアガリで影を踏ませぬ圧勝!2019最強位の将棋棋士 鈴木大介さんがファイナル進出!/麻雀最強戦2021 著名人最強決戦
日本プロ麻雀連盟に入会、そしてMリーガーに
鈴木九段が2023年5月5日に日本プロ麻雀連盟に入会し、記者会見を行った。2019年に麻雀最強戦で優勝したことで、憧れだったプロの舞台に興味を持ったという。ちょうどその頃にMリーグが発足し、よりいっそう麻雀プロへの熱意が増していた。当時は日本将棋連盟の常務理事だったため、両立が難しく諦めていたが、2023年6月で常務理事の任期が終わるため、このタイミングで”将棋”と”麻雀”の二刀流を決断した。麻雀プロ団体の中で、日本プロ麻雀連盟への入会を決めた一番の理由として、「モンド杯」の頃から大ファンで尊敬している佐々木寿人、滝沢和典の存在だった。せっかくプロになるのであれば、彼らと同じ舞台で戦いたいという気持ちがあり、知人や仲間の棋士などにも相談して入会を決めた。
その後2023-24Mリーグドラフト会議にて「BEASTJapanext」から指名を受けMリーガーへの道を歩み始めることとなった鈴木大介九段の今後にも注目だ。
将棋の鈴木大介九段が日本プロ麻雀連盟に入会 Mリーグ入りも見据える
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SNSでの評価・評判
プロ将棋界団体戦である第4回ABEMAトーナメントにて、各チームごとにTwitterアカウントを持ったのだが、鈴木九段はTwitterは初めて。何をつぶやいてよいかが分からず「にゃんぱすー」と挨拶ツイートをしたのが反響を呼んだ。Twitterでもこのツイートに関する評判が多い。
将棋界に突如やってきた「にゃんぱすー」鈴木大介九段のツイートから急拡大 大盤解説会のあいさつでもhttps://t.co/voDXUJ8H8u <「鈴木九段の父親はアニメーターの、鈴木康彦さん。」身内が関係者のガチな方じゃん(笑)#agson #joqr #agqr #岡本王手飛車
— silly (蓮實 智久) (@sillism) July 10, 2021
鈴木九段のTwitter初投稿の「にゃんぱすー」がバズり、今では将棋界と鈴木九段をイメージ付けるフレーズとなった。
先日からコレを並べています。最&高。
— ゆーきゃん | 将棋コーチ (@KamaraShogi) September 12, 2020
3000円ぐらいで一瞬お安くないと思ってしまいますが、これで何年か遊べると思えばコスパは良い。
大野、升田、大山といった偉大な先生方の棋譜を並べるだけでも楽しいのに、鈴木九段の解説がとても細かくてすごく学べます。
中飛車好きに超お勧めです☺️ pic.twitter.com/KWhUjPDarW
鈴木九段の著書『中飛車名局集』は学びが多いと好評だ。
近年の最強戦を見てるけど…
— ?️?足技尊氏 (@myluckandpluck) July 20, 2021
鈴木大介強すぎんよ〜www
棋士にしとくにゃ勿体ない!なんてねw
麻雀の強さから、麻雀界への転身を望む声があがってきそうだ。
鈴木大介九段のニュース・こぼれ話
鈴木大介九段の貴重な指導対局
鈴木九段によるオンライン指導対局が、日本将棋連盟が運営するYouTubeチャンネルから配信された。普段解説では他の棋士の指している場面を解説することが多いが、鈴木九段が自分で手を進めながら解説していく、貴重なトーク対局となっている。将棋の指導ではあるが、その思考は麻雀に生かせるところがあるかもしれない。
将棋界のあらたな挨拶「にゃんぱすー」
「にゃんぱすー」は鈴木九段に関するニュースでは、もはや外せない出来事となる。第4回ABEMAトーナメントで、チーム毎にTwitter配信することとなり、それを鈴木九段が担当することに。しかし鈴木九段はTwitterを利用したことがなく、何を投稿したら良いか迷った結果に「にゃんぱすー」という挨拶を投稿した。これが将棋界にとって大きな影響を与えたのだ。さらにこの「にゃんぱすー」というフレーズを、なんとチーム名にも採用。チーム天彦(にゃんぱすー)として予選Dリーグに出場した。