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七夕の夜、一番星が静かに落ちる。グループC・シンデレラたちの運命は・・・【シンデレラファイト シーズン2 GroupC Day5 担当記者・中島由矩】

七夕の夜、一番星が静かに落ちる。グループC・シンデレラたちの運命は・・・【シンデレラファイト シーズン2 GroupC Day5 担当記者・中島由矩】

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DAY1・2でグループAから4人が、DAY3・4でグループBから4人が、それぞれラウンド16進出を決めた。今回から始まるDAY5・6では、新たにグループCの11人が登場し、うち4人がラウンド16進出を果たし、7人は敗退する。

グループAからグループDまでを1半荘の麻雀に例えると、グループCが開幕する今回は南入したところということになるだろう。この観戦記も、みなさんの心の起家マークをひっくり返しつつ読んでもらえたら。心の起家マークとは・・・。

ウィリアム・シェイクスピアの作品「テンペスト(あらし)」から、第3幕第3場アントーニオのセリフを紹介しよう。

「成し遂げんとした志を、ただ1回の敗北によって捨ててはいけない。」

初日のグループAから今回までの間に敗退し、脱落となったシンデレラだけでも14人、さらに今日また3人の敗退者を見届けることになる。加えて、世の中にはプロテストを受験したのに不合格になった人もいるだろう。あるいは、地方に住んでいて、プロテスト受験を迷っている人もいるかもしれない。

きれいなドレスに身を包み、憧れのあの舞台で、たくさんのファンの応援を背に麻雀がしたい。優勝し、栄冠を勝ち取り、万雷の拍手を浴びたい。もしその気持ちがあるのなら、仮につまずいても立ち上がってほしい。逆境を跳ねのけてほしい。麻雀は、その席に座ってみないと、配牌を開けてみないと、どう転ぶか分からないことが山ほどあるのだ。

そんな敗退者たちやプロの卵たちをも勇気づけるべく、DAY5♯1は奇しくも、日本全国津々浦々から集まったシンデレラたちによる一戦となった。中でも北海道から飛行機でやって来る木下遥と、

福岡県からやって来る川本舞美の対比はひときわ興味深かった。

木下遥は、予選で圧倒的な力を見せつけて勝ち上がってきた。筆者もその時の観戦記に

牌効率に明るく、真っ直ぐで力強い木下の麻雀が、本戦シード選手たちをおびやかす日は、すぐそこまで来ている。

と書いている。

木下遥の40300点全部見せます【シンデレラファイト シーズン2 予選Final ピックアップ記事】

木下がこの♯1トップを決定づけたのは、南2局1本場親番でのことだった。

[7][8]のターツ選択が入っていること以外は、何も情報がないこの河で、

北場のイーシャンテンから打った[3]がつかまって

「ロン。12000は12300。」

と言われてしまう理不尽。

北場の不運は、まだある。もう少し時計の針を巻き戻すと、東2局0本場

しっかり河を見て、残り枚数が多い方を選択できた[7]

「ロン。12000。」

どちらも親の高いダマに突き刺さる。

しかし、北場はこの痛恨の2放銃をさして意に介さない。対局後のインタビューでは、「いつもあんな感じなんで・・・。」と説明していた。

そんな北場を、川本も上手く料理する。

東4局3本場の親番で、リーチの北場から[⑦]を打ち取って、ピンフ・赤・赤の5800をゲット。

実は北場の先制リーチは、[4][6]のシャンポン待ちだったのだが、もし川本が先に[④][⑦]待ちリーチを打っていたら、北場は追いかけリーチを掛けなかったかもしれない。また、川本は1巡前の[③]を手に留めて打[⑨]としていると、タンヤオ・赤・赤の[④][⑤][⑧]に待ち変えすることができており、その未来を選んでいたら北場の[⑦]はとらえることができていない。ここは、川本の繊細な選択が、北場から点棒を引き出した格好だ。

コスプレイヤーの顔も併せ持つ川本。今回のテーマはズバリ「織姫」とのことだった。麻雀もコスプレも、引き出しが多いことは魅力に直結する。

しかし、北場はめげない。のちにインタビューで語った「いつもあんな感じなんで・・・。」は、あながち誇張でもないのかもしれない。いつも通り放銃したけど、いつも通りやり返せばいいか、と。

そんな北場の反撃は、南1局0本場。タンヤオ・ピンフ・赤に三色まで見える好配牌をもらうと、上の14枚から打[③]でリーチ。

道中[③]をツモ切って(ああ、裏目だったか・・・。)と視聴者を落胆させておいてからの、[②]ツモ。しかもその[②]が裏ドラになって、リーチ・タンヤオ・ピンフ・ツモ・赤・裏ドラの3000/6000になった。結果から考えると、北場が12000点を手にできるパターンは、いや川本との11900点差を一気に逆転できるパターンは、この[②]ツモしかなかったのだ。北場、ここで今までの汚名を返上する、逆転のハネツモ。

大物手が飛び交う♯1は、南4局を迎えて

東家・川本舞美7600

南家・桃瀬古都34800

西家・木下遥43400

北家・北場千愛14200

ラス目の川本だが、まず親番だから連荘ができる。また、アガっても次局があるため、「リーチ。」と言えば、他家がオリてくれることもあるだろう。ここは放銃を恐れずパンパンに手を組み、リーチを掛けて攻めていきたい。

その親番・川本にテンパイが入った。1つ仕掛けての[五][八]待ちで、前述の通り、リーチが最善であることは川本も十分理解していただろうが、さりとてノーテンで終わるわけにもいかない。川本はアガリと流局をてんびんにかけながら、神経を研ぎ澄ませて判断を下した。それはさながら、東4局のリーチ判断・待ち取り判断のようだった。あの時のアガリよ、再び。

川本、もう1度アガリを手繰り寄せることができるか。

しかし今回ばかりは、勝利へとつながっている糸があまりにも細すぎた。川本と同じく1つ仕掛けて、なおかつ川本のアガリ牌である[五]を3枚内蔵しているトップ目・木下が、700/1300をツモって終局。

2023年7月7日(金)、織姫の願いは、天に届かなかった。川本舞美、たった1戦で脱落し、帰路につく。

♯2は、椿彩奈が登場。

椿は前回のシンデレラファイトシーズン1開幕戦を見事トップで飾った、押しも押されもせぬスター選手だ。麻雀界のみならず、芸能界、e-sports界でも活躍し、今回はスポンサー企業の名前入りユニフォームで登場した。

椿は真面目で責任感が強く、今回のシンデレラファイトも、勝ち上がりを強く意識しているであろうことは疑う余地がない。その勝ち上がりにしても、決して自分がたくさん映りたいわけじゃない。勝ってスポンサー企業の名前を1秒でも長く画面に表示させ、このシンデレラファイトシーズン2を盛り上げようと考えている。

また、同卓者との仲間意識も強い。もちろんラスを脱落させるゲームだから、そこはシビアにいくのだが、対局前後のワイワイキャッキャでいい雰囲気を作っている。

♯1では木下遥の強さが際立ったが、♯2では松島桃花の「採血」が話題をさらった。デイサービス・ウェルチャオで看護師として勤務している松島は、赤牌をツモることを「採血」とたとえ、それが動画のコメント欄や実況解説席で一気に火がついた。

松島会心の採血は、南4局0本場親番での4000オールだ。リーチ・一発・ツモ・赤・ドラで、さすがに試合場で「400㏄。」と言うわけにはいかないだろうが、解説席では「松島がこれ([赤⑤])を採血。」と表現し、反省会参加の椿が「鷲巣麻雀ですか?」と質問する一幕には、思わず吹き出してしまった。

それにしても椿の表情が暗い。本当に手が入らないし、展開にも恵まれない。

上のシンデレラファイトシーズン1観戦記で触れた、椿の高い雀力を示す「山読み」だが、今回は南2局2本場にチャンスが訪れた。

タンヤオ・チートイツの3200だが、河に[2][3][5]あたりがパラパラと切られていて、いかにも[4]がよさそうに見える。

しかし今回は、対面の火野ハルナに1枚

上家の長谷川栞に2枚持たれており、アガリには結びつかなかった。こうやって4者の手牌を見ると、[白][北]待ちでのリーチが優位だったかもしれない。

落胆する間もなく、椿は続く南3局0本場では、

親番・松島のカン[④]リーチを受け、

当たり牌をつかんでしまう。リーチに通りそうなドラの[4]に手を掛けると・・・

これが長谷川の6400にストライク。

長谷川は最近結婚したばかりで、紹介Vのこのシーンに注目していたのだが、

この6400で初めて結婚指輪を目視確認。ご結婚、6400、トップ通過、全部おめでとうございます。

ロンと言われた椿はこの表情。6400は痛い。裏ドラ次第だが、リーチに対して真っ直ぐ[④]を打った方が安かった(裏ドラがなければ3900)可能性すらあるくらいだ。

南4局1本場を迎えて、4者の点棒状況は下の通り。

東家・松島桃花44400

南家・火野ハルナ7900

西家・長谷川栞40900

北家・椿彩奈6800

椿は、1100点上の火野をまくるべく、1300は1600のテンパイを入れるものの

最後は長谷川のダマが松島をとらえてゲームセット。松島としては前巡火野の[一]が通っていたので合わせ打ちに近い感覚でカン[二]受けターツを払ったところだったが、無念のトップ陥落となってしまった。

♯3は、♯1から桃瀬古都・北場千愛、♯2から松島桃花・火野ハルナが激突。

まずは北場が先行する展開に。2つ仕掛けて、火野のリーチに対しても危険牌を勝負し、1500は1800のアガリ。解説の小林剛は、供託1本に火野のリーチ棒もあるから、「3800のアガリ」と表現する。子でタンヤオ・ドラドラ(3900)なら、まあまあ押すでしょうよ、と。

北場はなおも攻める。10巡目に、よさそうなカン[8]でリーチをかけると、松島からとらえて3900は4500のアガリ。

「目標とするプロは、小林剛・上野あいみ。」と書く北場。目標とする小林剛が解説席で見守る中、トップで♯3を駆け抜けたい。

しかし、自らの雀風を【激情型】と評する北場は、他3者の猛烈な追い上げもあって、徐々に点棒を減らしていき、南4局0本場をラス目で迎えていた。

東家・桃瀬古都48900

南家・北場千愛9500

西家・火野ハルナ27100

北家・松島桃花14500

10巡目、北場に待望のテンパイが入る。状況を整理しよう。

■3着目の松島とはちょうど5000点差で、テンパイ・ノーテンでは返らない。

■2600直撃か、1000/2000ツモだが、どちらも条件を満たしている。

■親番の桃瀬が離れたトップ目であり、次局があるとは考えにくい。

以上の理由から、ここはリーチだったと思うがどうだろうか。

北場も前述のようなことは分かっていただろうが、1度テンパイを外してドラを重ねてからリーチに踏み込んだ。[9][北]の行方に注目が集まる。さらに筆者は、ファーストテンパイの時のカン[⑤]のことも追いかけていた。

が、これがことごとく他家に持たれ・流れ、北場のもとへは1枚たりとも来なかった。

北場千愛、深々と一礼して会場を後にする。

大きな輝きを放っていた星たちが、放送のたびに、1つまた1つ落ちていく。しかし、1度思い通りにいかなかったからといって、みんな輝くことを諦めたりはしない。心から尊敬できる、本当にたくましい星たちであり、織姫たちだ。

次回Day6は7月14日(金)17時配信開始! ゲストは松ヶ瀬隆弥

DAY6は松ヶ瀬隆弥がゲスト解説!

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