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ネマタの戦術本レビュー第841回「『論理的思考で勝つ麻雀』著:中嶋隼也 編その7」

ネマタの戦術本レビュー第841回「『論理的思考で勝つ麻雀』著:中嶋隼也 編その7」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

Logic7

 

 出アガリ30符2翻のリャンメンリーチと40符3翻のカンチャンリーチなら後者がやや有利。リャンメン側が40符2翻になればやや前者有利ですがそれでも大差はありません。よって、タンヤオがつかないカンとタンヤオがつくカンの比較であれば、場況から少なくともリャンメンとカンチャン以上に差がつくと判断できなければカンを選ぶのは得策と言えません。

 

 そこまで差がつくとなれば、高打点側のカンチャンが何らかの理由で他家にトイツ以上で持たれているといった読みができる必要がありますが、見た目の場況の良し悪し程度ではそこまで分かりません。もしそこまで読めるのであれば、他家の手牌構成を高い精度で言い当てられるほどの具体的な情報があるはずです。

 

 リャンメンとカンチャンの差、満貫未満の手における1翻差、4連形や中ぶくれ形のような強浮き牌とそれ以外の浮き牌の差のように、平面的要素で大差がつくものに関しては、よほど高い精度で読めるのでなければ平面的要素を優先すべきでしょう。

 

 逆に言えば、理論上の細かい差こそあれ、平面的要素で大差がつかないものに関しては、むしろ立体的要素を優先することをお勧めします。「現代麻雀技術論」では手組の体系化を目的としているため、細かい平面的要素についても取り上げましたが、実戦問題としてはほとんど取り上げていないのはそのためです。実力をつけることを目的とするのであれば、手組についてもなるべく実戦に即した論理的思考に基づいて判断しましょう。

 

 役有りテンパイになれば、ツモだけでなく他家から出アガリもできるので、アガリに近い段階ほど場況の良さが重要になります。アガリに近い段階の打牌選択ほど結果にも差がつきやすいことを踏まえると、平面的セオリーは押さえておく必要があるとしても、立体的要素の重要性がうかがえると思います。

 

 とはいえ、他家は3人いるのですから、特定の牌を1人が持っていないと分かったところで、残りの2人は分かりません。よって本書にある通り、カンチャンの1枚差を覆すだけでも、場況の良し悪し程度の読みなら2人以上からの情報が欲しいところです。これに限らず、非公開情報に関しては、必ず2種以上の情報を踏まえて判断することをお勧めします。1つだけの情報で非公開情報を推測するのは、一昔前によく見受けられた、「誤った読み」の典型例です。

 

 

論理的思考で勝つ麻雀

「選択と抽選のゲーム」と言われる麻雀。
プレイヤーの実力が反映される「選択」の精度を高めることは何よりも大切です。
本書ではそのために必要な考え方、戦術を論理的に解説します。

著者は麻雀の思考の言語化の達人、中嶋隼也プロ。ロジカルで分かりやすい解説が遺憾なく発揮されています。

点数状況・巡目・他家の挙動など、状況が刻一刻と変わるゲームである麻雀において、得な選択肢を選び続けるための論理的思考力を本書で身に付けましょう!

著:中嶋隼也(@owadasenmu
単行本:1,404円
 

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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