- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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Logic19
一昔前に比べればテンパイ料の重要性が意識されるようになりました。しかしテンパイ料が過小評価されてきた理由が、実はそのまま、単純な局収支だけで判断すると今度は過大評価になる理由につながるように思われます。人は確率に基づく期待値を直感的に判断するのが苦手ですが、その一方で、局結果の分散や順位点に影響については無意識のうちにでも考慮に入れることができます。
よって、データに基づく麻雀研究がされる以前から麻雀を打ち、直感や経験則を重視するタイプの打ち手は、たとえ実力者でも局期待値を優先する局面において最善でない判断をすることが多く、その逆も言えるのではないかということです。両者をいかに埋め合わせしていくかについては、まさに今後最も重要となる研究課題ですが、テンパイ料に関しては、本書の図表を基準としつつ、点数状況から加点の価値が高いかどうかを、残り局数が少ない段階では特に意識したうえで判断されることをお勧めします。今回の例は点差が離れたトップ目のみ降りでしたが、トップでなくても上位とも下位ともかなり点差がついた場合は降り寄りになります。
戦術書はその仕様上、局収支が最大になるような選択がそのまま正解となるような局面における判断を基準としていますが、実戦では必ずオーラスやラス前があり、満貫以上のアガリの出現率も高いため残り局数が多い段階からかなり点差がつくことも少なくありません。そう考えると半荘戦でも全体の半分、東風戦に至っては全体の7割程度は、局収支ベースの判断がそのまま適用しづらいと言えるかもしれません。
実際には結局判断が変わらないということも多いのですが、極端な点数状況に関しては戦術書の形で取り上げられることが少ないため、戦術書から麻雀を学んでまだ実戦経験が浅いと意識できていない方も少なくないかもしれません。問題なのは意識し過ぎて判断を誤ることであり、打牌選択に関わる情報はいずれにせよ意識しておくに越したことはありません。戦術書から知識を身につけることも重要ですが、それと同時に、局面から得られる情報を少しでも多く把握できるようにすることも重要になります。
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