当初は、満貫—跳満—倍満—三倍満—役満の翻数が4−6−8−11−13と不規則なのは何故だろうかという疑問を呈するだけで終わるだけの予定でしたが、気付けば結構長くなってしまいました。
真相についてはやはりはっきりとはしませんが、点数計算のインフレ化の推移を考察する中で、何となく想像がついたような気がします。昭和40年代の時点では役満が三倍満相当。三倍満を制定した理由は、通常役より高い点数を付けることで差別化を図るため。倍満より上の点数を付けるとなれば、まずは三倍満にするのが妥当なところです。
その後、通常役の複合でも「数え役満」として三倍満になるルールが考案されます。1翻あたりの点数を等しくすることを考えると、三倍満は10翻よりむしろ12翻とするのが規則的。しかし12翻となると相当出現しづらく、1翻足らずで終わってしまうことも多かった。そこで、1翻下げて11翻から三倍満にしようということになったのではないでしょうか。これでも四暗刻、国士無双、大三元の出現率が高い三大役満より難易度が高いです。
それから更に役満が四倍満に引き上げられ、それを追うように13翻から「数え役満」となりました。11翻の次が14翻でなく13翻なのは、倍満→三倍満は打点3/2倍ですが、三倍満→四倍満は4/3倍と効率が悪くなっているので、2翻増しで十分という判断だったのでしょうか。三倍満同様、折角ルールとして採用するなら、どちらかと言えば出現しやすい範囲にしておいた方が面白いだろうという人の意思もあったのかもしれません。
元々相当でにくいうえに、三倍満を11翻相当としたとなると、倍満と三倍満の間の点数を作るのも中途半端。満貫と倍満の間の跳満と違い必要性も薄いので、「跳倍満」は採用されなかったというところでしょう。符計算同様、満貫以上の得点計算についても、最初からルールが決まっていたのではなく、ルールの変化に応じて作られたものなので、何かと不規則な部分が残っているということです。
このようないかにも後付け感のある不規則性。私は嫌いじゃないのですが、個人的には通常役の複合は三倍満止まりなのが好みですね。役満はやっぱり特別というより、役が色々ついて三倍満になるところに何となく渋さを感じるのです。実はリアルの四人麻雀で三倍満をアガったことが一度もないので、一回くらい、「6000−12000」あるいは、「12000オール」「36000」と発声したいものです(「24000」は親の倍満と同じになるので)。