- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
SYSTEM1
筆者の山越氏の天鳳十段到達(歴代最短記録)時のリーチ率は実に24.3%。天鳳位平均が16.3%であることを踏まえると、先制リーチの強さが浸透した現代麻雀においても、筆者ほどのリーチ重視打法は異端の部類かもしれません。本誌の牌姿で即リーチを打つのは、トッププレイヤーの中でも少数派でしょう。
しかし、強者の多数派がそのまま正着ではないことも多々あるのが麻雀。この数牌単騎リーチが妥当と言えるかどうか、後の項目で検証してみることとします。
SYSTEM2
「悪い待ちでリーチして他家から反撃されたくない」という理由で、単騎テンパイをダマにする人に対しては、「チートイツと同じ感覚を持て」というのも有効なアドバイスだと思います。
『現代麻雀最新セオリー』で、「対リーチに安牌を切ってのみ手悪形で追いかけリーチ」が、ベタオリとの比較であれば損ではないことが示されました。実戦では「ダマテンから危険牌を引いて降り」との比較なので、実際に追いかけリーチを打つことは少ないとは思いますが、「後手から安牌を切って追いかけリーチ」ですらこの結果なので、先制テンパイの時点で、他家からの反撃を受ける恐れがあることだけを理由にダマにすることはないと言えます。
問題は、手変わりを考慮しても即リーチ有利と言えるかどうか。チートイツの単騎であれば、リーチ有利であることは既にデータを用いた検証がなされています。手変わりしたとしても受け入れ枚数までは増えず、ドラ無しチートイツはリーチによる打点上昇効率がよいのが理由として大きそうです。
しかし、メンツ手の場合は受け入れが増える変化、平和がついて打点が上がる変化も多いので、チートイツと全く同じ感覚というわけには行きません。システム3に続きます。
SYSTEM3
メンツ手の数牌単騎待ちでテンパイしている場合、以下のことが言えます。
・のような端寄りの順子1つにつき手変わり2種、それ以外の順子1つにつき4種
・19牌の暗刻1つにつき手変わり2種、28牌暗刻1つにつき3種、3〜7の暗刻1つにつき4種
・つながっているメンツがあればつながり方によって手変わりが増減する
・生きている字牌やドラ、アガリ牌そのものにつき手変わり1種
本書の牌姿であれば、手変わり牌が14種+αあることになります。これだけなら手変わり待ちがよさそうですが、フリテンや場に多く切られた待ちを除外すると実戦では案外手変わりが残っていないことが多いもの。この牌姿だけでは結論は出せませんが、このテンパイ形になった時点では、即リーチ有利であることも少なくないとみます。
ただし、システム1の牌姿のような雀頭無し1シャンテンで、「単騎でテンパイした時に、手変わりを待つ余裕が無い」のであれば、順子部分で雀頭が出来た場合はリャンメンテンパイになる受けが多い雀頭固定が有利になりやすく、「手変わりを待つ余裕がある」のであればメンツ固定が有利になりやすいと言えます(参照)。ツモは高めタンヤオなので常に雀頭固定有利です。
よって、手組の技術に長けている打ち手であれば、「手変わりを待つ余裕が無い」場合は、途中で雀頭を固定してこの形にならないことが多いのではないでしょうか。逆に言えば手変わりを待つ余裕がないのにこの形を残しているときは、「場況からをツモりやすい」と判断しているということ。一見麻雀を覚えたての初心者がやりがちな選択を多用して結果を残す強豪が少なからずいるのは、場況読みを踏まえたうえでの手組に長けているからではないでしょうか。
麻雀勝ち確システム
1巡でも早く敵を押さえつけ自由に打たすな!!システムだけで天鳳最速十段、2年連続関東最強位の山越貴広さん(@yamakoshitenhou)によるプロが書けない異端の戦術!!
限りなくシンプルに、すぐに取り入れられる戦術集。
史上初「1ページ1戦術」構成!
無駄を一切排除!
どのレベルの人が読んでも「ぱっと視覚的に」分かりやすい!
システムとして取り入れやすい手軽さを最優先してます。
著者の麻雀の中心であるリーチから始まり、今まで皆さんがあまり使ったことのないであろう戦術、また麻雀を打つ上で大事な「メンタル」についても。フリー、大会、天鳳、どのフィールドでも必ず成績は上がり、麻雀が今よりもっともっと楽しくなることでしょう。