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ネマタの戦術本レビュー第1187回「『世界最強麻雀AI Suphxの衝撃』編 その5 著:お知らせ」

ネマタの戦術本レビュー第1187回「『世界最強麻雀AI Suphxの衝撃』編 その5 著:お知らせ」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるもの、または更に掘り下げたい部分等を取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。

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第1章 強くなること

5.ノーミスであること

将棋の大山名人は、まだ将棋ソフトが初心者同然だった頃から、「人はミスをするから、コンピューターに人間は必ず負ける」と発言されたそうです。それから数十年後、まさに名人の予言通りとなりました。当時AIが人間に勝てなかったのは、研究が進んでいなかったのでアルゴリズムが未熟だっただけに過ぎません。判断基準の精度が一度人間に追いついてしまえば、AIが人間を超えるのは時間の問題。本書を読む限り、Suphxの判断力は、既に人間のトップクラスに追いついているように思われます。

私も「ミス」について、認知ミス、判断ミス、操作ミスに分けて取り上げてきました。ミスの定義が「他の打牌より劣る打牌」であれば、実力をつければつけるほど、ミスの頻度は減ると言えます。

しかし、「他の打牌より劣ると『認識される』打牌」と定義するのであれば、実力がつくことでむしろミスが増えるということもしばしば起こります。何故なら、実戦を積み重ねることで認識力を、打牌基準を細分化することで判断力を上げれば上げるだけ、ミスをミスと「認識できる」ことも増えるからです。結果を出すことを目指して「鬼打ち」に励む打ち手ほど、集中力の低下から操作ミスが増えてしまうということもあるでしょう。

天鳳位に到達した打ち手が、「1半荘わずかなミスもなく完璧に打てましたなんてことはそうそうない」と言うのが麻雀というゲーム。もし、ミスをしているつもりがないのに勝てないと思っている打ち手がいるのであれば、④「鬼打ち」⑤「自分で牌譜を見る」以外の勉強をして、認知力、判断力を鍛えることをお勧めします。

そのための勉強法が、「麻雀を学ぶこと」でも取り上げられた、①「強者の牌譜を見る」②「人とやり取りをする」③「戦術書」ですが、先述の通り人間はミスをするので、判断力でも人間のトップクラスに並んだと思われるSuphxの牌譜を学ぶことこそ、上達の為に最も効率のよい方法となることは間違いありません。

もちろん、ただ牌譜を見るだけでは①は達成できても②、③が不足しています。③については本書を参考にするとして、①③を習慣にしているプレイヤーとのやり取り(②)も揃えば、現状で最強の学習環境が整ったと言えます。期待に応えられるかは分かりませんが、②に関しては私からも惜しみなく協力させていただきたいと思います。

世界最強麻雀AI Suphxの衝撃

世界最強の麻雀AIを人間のトッププレイヤーが本格解説!

2019年6月、麻雀AIで初めて天鳳十段に到達し話題をさらった「Suphx」(スーパーフェニックス)。

天下のMicrosoft社が麻雀という不完全情報ゲームに殴り込みをかけてきたのです。「Suphx」の強さはもはや人間のトップレベルに達しており、他のボードゲームがそうであるように、麻雀も「AIから学ぶ」時代に突入しつつあります。

本書はその端緒となるもので、最強のAIである「Suphx」を人間界のトップといえる天鳳位を獲得したお知らせ氏が徹底的に解説するのものです。

お知らせ氏の筆致は処女作である『鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム』で証明されたように緻密にして正確無比。「Suphx」の打牌を咀嚼し、人間の知として昇華する上でこれ以上の適任はいないでしょう。

ぜひ本書で「Suphx」の強さの秘密と、麻雀というゲームの深淵を味わってください。

●目次
第1章 強くなること
第2章 スタンダードな押し引き
第3章 中盤のスリム化
第4章 序盤の方針

●著者プロフィール
1989年9月18日生まれ。
神奈川県横浜市出身。東京大学工学部卒。
第14代四麻天鳳位。
著書 「鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム」(マイナビ出版)

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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