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ネマタの戦術本レビュー第1188回「『世界最強麻雀AI Suphxの衝撃』編 その6 著:お知らせ」

ネマタの戦術本レビュー第1188回「『世界最強麻雀AI Suphxの衝撃』編 その6 著:お知らせ」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるもの、または更に掘り下げたい部分等を取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。

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第1章 強くなること

6.牌効率

牌効率は、①テンパイ効率②アガリ効率③打点、手役も含めた効率と異なる意味で使われることが多い言葉です。原義を辿れば②ですが、本書では③の意味で用いられています。

私が「現代麻雀技術論」で、「牌効率」という言葉を一度も用いなかったのは、「原義を辿れば定義があるとはいえ、誰もがその定義で使っているわけではない」この言葉の存在が、19pで取り上げられているような、手組の技術を身につけるうえで重要な概念を理解するうえでの妨げになっていると判断したためです。何かと定義分かれをしやすいので、牌の持つ機能、価値と言い換えて考えることを推奨します。

19pの問題における牌の機能を考える前に、手牌全体がどのような形かを把握するために、「5つの数字の並び」を意識しましょう。A1.2は「23311」。枠内に「1」を含んでいるので、1が2になるだけでも手が進みますが、A1は周辺を引けばタンヤオがつきます。枠内の「1」の価値が高いので、相対的に枠外の牌の価値が下がっています。A3は「23211」。本書の手牌ではを残す事で789三色が狙えますが、言及されてないのでおそらく牌姿ミスと思われます。麻雀は先手を取ってアガリきるかテンパイ料を得ることで、初めて牌の持つ価値を得点に変えることができるのですがら、アガリに遠い手牌は手を進めるための牌の価値自体が下がっていると言えます。

Bは「23331」。枠内に「1」があるうえにアガリに近い手牌なのでAよりもの価値が高くなっていますが、B2は枠内の「1」の価値が高いので、枠外のの価値がB1に比べると下がっています。

CはA同様「23311」。枠内の「1」の価値が高さを踏まえるとの価値はC2>C1、アガリへの近さを考えるとC3>C1と言えます。

D1は「23322」D2は「23222」枠内に「1」が無いので、1が2になるだけの牌の価値は大きく下がりますが、手役がつく牌は依然として残す価値が残ります。アガリに近いほど手変わりする頻度が減るので、の価値自体はD2>D1と言えます。

牌の持つ価値は手牌全体によっても変化しますが、手牌の一部との関連性によっても変化します。24pの問題がその一例です。同様の内容は、「勝つための現代麻雀技術論」でも取り上げましたが、分量が非常に多いうえに、19pで取り上げたような手牌全体による価値の変化、もしくは場況による価値の変化に比べれば小差の話なのであまり重点的には取り上げませんでした。

「牌効率」を①テンパイ効率、もしくは①に近いニュアンスで捉えられるが多いこともあり、この言葉だけ聞くと簡単で、実力者なら出来て当然というイメージを抱く方も多いかもしれません。しかし、③手役、打点を含めた効率はもちろん、②アガリ効率に止めてさえ、天鳳位にまで到達する打ち手が、「あまりよくわかっていない」と言わざるを得ないような代物です。(ついでに言えば、①テンパイ効率だとしても実力者なら出来て当然というものではありません。むしろ②③を考慮すれば明確な誤打なので、実力者が直感的に選びにくい選択がテンパイ効率では最も優秀になることも多々あります)。

土台の上に築くとあるように、牌の機能、価値を知ることがそのまま麻雀の実力になるのではなく、知っていればそれだけ効率良く実力を上げることができるようになるという代物。疎かにしてはなりませんが、「牌の機能を知るための勉強」に特化することもお勧めしません。これから本書を手に取って麻雀を学ばれる方には、戦術書、実戦、観戦、牌譜検討。全て同時進行でやっていくことをお勧めします。

世界最強麻雀AI Suphxの衝撃

世界最強の麻雀AIを人間のトッププレイヤーが本格解説!

2019年6月、麻雀AIで初めて天鳳十段に到達し話題をさらった「Suphx」(スーパーフェニックス)。

天下のMicrosoft社が麻雀という不完全情報ゲームに殴り込みをかけてきたのです。「Suphx」の強さはもはや人間のトップレベルに達しており、他のボードゲームがそうであるように、麻雀も「AIから学ぶ」時代に突入しつつあります。

本書はその端緒となるもので、最強のAIである「Suphx」を人間界のトップといえる天鳳位を獲得したお知らせ氏が徹底的に解説するのものです。

お知らせ氏の筆致は処女作である『鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム』で証明されたように緻密にして正確無比。「Suphx」の打牌を咀嚼し、人間の知として昇華する上でこれ以上の適任はいないでしょう。

ぜひ本書で「Suphx」の強さの秘密と、麻雀というゲームの深淵を味わってください。

●目次
第1章 強くなること
第2章 スタンダードな押し引き
第3章 中盤のスリム化
第4章 序盤の方針

●著者プロフィール
1989年9月18日生まれ。
神奈川県横浜市出身。東京大学工学部卒。
第14代四麻天鳳位。
著書 「鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム」(マイナビ出版)

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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