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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第35回 牌効率(その19)アンカンはいつすべきか

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第35回 牌効率(その19)アンカンはいつすべきか

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「カン」は、卓上を一気に緊張させます。

まず、カンをする人はアガリに近いことが多い。また、カンドラやその裏ドラ(カンウラ)が増え、高い手になりやすいためです。役なしでリーチ後にアンカンしたら、その4枚がドラになり、「リーチ・ツモ・ドラ4」でハネマンになるケースもあります。

カンは、牌効率だけの話とはいえないのですが、インパクトが大きいためかご質問を頂くことが多く、この機会にメリットとデメリットをご紹介します。

カンには、アンカンとミンカン(アンコから鳴く大ミンカンと、ポンした状態からの加カン)がありますが、今回は主にアンカンについて考えます。

アンカンをすると、次のような効果があります。

1  自分の符が増える(メリット)
特に、一九字牌のアンカンは32符つくので、ほぼ1ハンあがる効果があります。

[一][二][三][③][④][4][5][6][8][8][発][発][発]

でリーチして[⑤]をツモ。ドラがなければ「リーチツモ發」の30符3ハン(基本の20符+發のアンコ8符+ツモの2符でちょうど30符)で1000/2000点です。

もし發をアンカンできてからツモると、60符3ハン(基本の20符+發のアンカン32符+ツモの2符で54符、切り上げて60符)で2000/4000点のマンガンになります(切り上げマンガンにしないルールでも2000/3900点です)。
点数が倍増する魅力は大きいですね。  
   
2  カンドラ、カンウラが増える(メリットでもデメリットでもある)
一気に打点上昇のチャンスです。ただ、他家のドラを増やすリスクもあります。4人全員に影響するので、この効果が最も大きいといえるでしょう。
偶然性が高くなるため、競技ルールでは、カンドラやカンウラがないこともあります。初心者が実力者相手に金星をあげるためには、カンすればチャンスが広がる、ともいえます。
  
3  リンシャン牌をツモれる(メリット)
テンパイしていて、リンシャン牌をツモってアガれば「リンシャンカイホー」という役がつきます。また、自分のツモ回数が1回増える効果もあります。一手の後先が重要な麻雀で、1回多くツモれる意味は大きいです。

4  自分の牌を他家にみせる(主にデメリット)
アンコなら見せなくてよい牌を、アンカンすると、情報公開することになります。ただ、ダブ東やドラをアンカンすれば、他家が警戒して撤退し、自分の独り舞台となりアガりやすくなる場合もあります。

5 危険牌を切らずに手を進められることがある(メリット)
他家に当たりそうな牌が4枚そろった時、アンカンすれば切らずにすみ、かつ自分の手も進行できます。

6    自分の手の発展を止めることがある(デメリット)
中張牌をアンカンすると、受け入れが減ることがあります。
   
[四][五][六][④][⑤][⑤][⑤][赤⑤][4][6][8][西][西]

のような手で、[⑤]をアンカンすると、[④]の機能が大幅に下がります。456のサンショクも狙える形なのに、もったいないですね。
上の形は、[⑤]のアンコと[④][⑤]のリャンメンターツでもあるので、普通はカンしない方がよいです。

いつアンカンするかは、メリットとデメリットがあるため、実力者の間でも判断が分かれやすい論点です。また、そもそもカン自体が珍しいので、麻雀をはじめて間もないころは、あまり気にしなくて良いと思います。

そのうえで、一般的なセオリーをご紹介しましょう。アンカンしよう!という判断に傾くのは、

1 テンパイか1シャンテン(特に好形)のとき
自分がアガリに近いなら、ドラや符を増やすメリットが大きくなります。

2 自分の打点を上げることで、順位アップが見こめるとき

3900点をアガっても順位はそのままだが、符やドラが増えてマンガンなら逆転を狙えるとき、などです。
Mリーグルールや最高位戦ルールのように、1着順で順位点が20000点変わる場合、順位を1つあげることは20000点の手、つまり親のハネマン以上の価値があります。

3  他家があまり攻めてきていないとき

他家がリーチしている時にカンすると、他家のドラも増やしてしまいます。
ライバルの手が遅そうな時や、安そうな仕掛けをしているときは、カンによるリスクが減ります。
他家が3人とも鳴いていて、それほど高そうでもなければ、カンのチャンスですね。

4  場をわざと荒らしたいとき

少し応用編ですが、終盤で自分がラス目、かつアガリにも遠そうな場合などです。
自分がカンすれば、他家は「ドラが増えたのならリーチ!」となりやすい。
リーチ合戦になれば、他家から他家への振り込み(横移動)が起こり、かつドラの効果で思わぬ高打点になることもあります。その結果、他家が高い放銃をして、自分がラス目から抜けられる可能性が出てきます。
落とし穴を掘る?ようなもので、あまり綺麗な方法と感じないかもしれませんが、選択肢の一つとして持っておくのは悪くないと思います。

また、マナー面でのポイントを一つご紹介しましょう。

アンカンする際、手の中で4枚のうち2枚だけひっくり返して見せて、そのまま右に移動する場面をしばしば見ますが、厳密にいうとマナー違反です。

確実に4枚持っていることを他家に示すために、まず4枚とも表に見せてから、うち2枚を裏にするのが正しい方法です。
そうでなければ、

[発][西][北][発]

のようなバラバラの4枚でも、両端の[発][発]だけ表に見せて「カン」といえば、[発]が4枚ないのにカンできる不正の余地があるからです(実際に、そのような場面を描いた麻雀漫画もあります)。
現実には、他に[発]を持っている人がいれば一瞬でばれるので、そんなインチキをする人はいないと思いますが…。

「麻雀の匠」では、近藤誠一プロの下記の動画が参考になります。


下家のリーチを受けて安全牌がなく、かつ自分はアガリに向かえるため、[八]をアンカンしています。他家のリーチ後にあえてアンカンする積極策ですが、局面や手牌の形によって、このような判断もありえます。自分がラス目なので、ドラを増やして打点上昇を狙う意図もありそうです。

この動画でも、4枚ある[八]を一度、しっかり他家に見せていますね。作法も含めて、じっくりご覧ください。

次回は、打ち手共通の悩み、複雑な多面待ちを考えます。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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