「まさか選ばれると思っていなかったので本当にうれしかったです」とU-NEXT Piratesの入団会見で語ったが、その実力は發王位を連覇するなど折り紙付き。「おもしろい人だなと思ってもらえたらうれしいですね」という仲林圭プロは、チーム、さらにはMリーグの未来像を語ってくれた。
U-NEXT Piratesに新コンビ誕生
U-NEXT Piratesから指名を受けた後、同期入団した鈴木優選手と相談して決めたのは“コンビ名”だった。「優さんのUと、僕のK。ふたり合わせて“UK”(ユーケー)というコンビ名でやっていこうと話し合いました。“UK”をうまくブランディングできたら、世の中に認知されやすいのかな(笑)。優さんはカッコいいスタイリッシュ系ですが、天然なんでボケ担当。僕はお笑い系なんでツッコミ担当。千鳥さんやダウンタウンさんは好きですけど、目標はそこではありません。あくまでも認知度アップのためのコンビです」とはにかむ。
Mリーガーを目指してプレゼン
Mリーグ2022-23ドラフト会議前に行われたU-NEXT Piratesとの面談にて。仲林プロはチームにいくつかの提案をしていた。「さらに人気が出るチームになるため、SNSの活用法など具体的な提案をさせて頂きました。将来、子供たちが麻雀を一生懸命勉強して、U-NEXT Piratesに入りたいと思われるようなチームになってほしいので」と自身の率直な思いをぶつけていた。
「おもしろい人」は最高の褒め言葉
実際、仲林プロ自身もYouTubeなどさまざまな配信を積極的に行なっている。「おもしろい人だなと思ってもらえたらうれしいですね。麻雀はもちろん真剣なんですが、試合後のインタビューをはじめ、SNSや動画も。YouTubeチャンネルを開設した時に、オンラインゲーム雀魂を使って配信してみたら、おもしろいと言ってくれる人がいたので、継続しています。雀魂はキャラクターが可愛いだけでなく、何がダメだったのか、牌譜(ぱいふ)を見直すことができるからいいですね。僕がプロ入りした頃は、牌譜をその場その場で勉強するしかなかった時代だったんで」
Mリーグ初となる役満の頭ハネ
U-NEXT Piratesに加入後、チームキャプテンである小林剛プロからは「チーム戦とはいえ、麻雀は個人競技なので、その延長線だと思って」と言葉をかけられ、気が楽になった。持ち前の明るいキャラクターもあり、チームに溶け込むまでに時間はかからなかった。
そんな中、レギュラーシーズンとなる2023年3月6日の第1試合。国士無双を頭ハネ(※)されるという珍プレーがあった。「頭ハネされた瞬間は悔しいという感情だけでしたね。チームのためにアガりたかった。試合後にSNS上でバズっていたなんてことももちろん知りませんし、本当に悔しかったですね」とはいうものの、役満を頭ハネされながらもトップを取り切ったのは、転んでもただは起きない仲林プロの真骨頂かもしれない。
※頭ハネ=同時ロンの場合、フリ込んだ人の座順によってアガる優先順位が決められているルールのこと
麻雀プロになったきっかけ
麻雀を覚えたのは中学生の頃。以来、高校時代も留年するほど夢中になった。そして大学生だった21歳の時に「アルバイト先の雀荘で、吉田光太プロ(日本プロ麻雀連盟)と出会ったことで麻雀プロという存在に興味を持ちました」と、光太プロが当時所属していた日本プロ麻雀協会に入会した。
「自分が一番強いことを証明したい。ただただ僕は強いんだぞということを見せたかっただけでした。そんな自分の好きなことがエンターテイメントとなり、それで収入をもらえているのは、麻雀プロになってよかったなと思っています」
麻雀が結んだ一期一会
大学中退後、麻雀が縁で入社した会社で働いていた時期もあった。「自社の社長とコミュニケーションがしっかり取れたのも、麻雀を通じてでした。もちろん社長が麻雀好きだったからなんですが、異業種の方たちとも、立場や職種なども関係なく交流できるのは麻雀の魅力だと感じています」
好きな言葉
「“為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり”が好きですね。今日はツイてねえなんて言っているんじゃなくて、何がダメだったのかをちゃんと見直すことは大事かな」と肝に銘じている。
1億円プレイヤーが生まれる世界を目指して
仲林プロには、Mリーグの未来予想図がある。「サッカーや野球など、他のプロ競技には1億円プレイヤーはいくらでもいます。Mリーグは創設5年目。まだ創成期だとは思いますが、麻雀でも1億円プレイヤーが生まれるような世界を目指して行けたら」と、その眼差しは真剣だ。
「他の競技との違いは、毎試合スタジアムからの観客動員数で収入が得られる仕組みがまだ整っていないこと。Mリーグの場合はパブリックビューイングはありますが、リアル空間ではむずかしいので、メタバースと言われる仮想空間のスタジアムで試合をやれたらいい。その中のアバター(ゲームやインターネット上に出現する自分の分身)にユニフォームを着せて、みんなで応援する。そんな未来があったら、Mリーガーの1億円プレイヤーも夢ではないと思っています」と仲林プロの未来予想図が現実になる日は、そう遠くはないかもしれない。
写真:麻雀ウォッチ インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)
仲林圭(なかばやし・けい)プロフィール
生年月日:1985年9月17日
出身地:東京都生まれ
血液型:O型
所属団体:日本プロ麻雀協会、U-NEXT Pirates
キャッチコピー:龍を継ぐもの
ニックネーム:じゃが
主な獲得タイトル:第10期雀竜位、第7回オータムチャレンジカップ、第29・30期發王位ほか
趣味:フットサル
好きなアニメ:『コードギアス』『魔法少女まどか☆マギカ』
勝負めし:つけそば(ダイエット食として)
年 | 年齢 | 主な出来事 |
---|---|---|
1985 | 1歳 | 2人兄弟の弟として誕生 |
2000 | 15歳 | 早稲田大学高等学院ではサッカー部に所属。麻雀に夢中になり1年留年 |
2004 | 19歳 | 早稲田大学理工学部入学。フットサルとテニスサークルに所属 |
2006 | 21歳 | 大学を中退し、働き始めた麻雀店で吉田光太プロと出会う |
2007 | 22歳 | 日本プロ麻雀協会入会。麻雀が縁で会社員となる |
2009 | 24歳 | 退職後、吉田光太プロの麻雀店「キングダム」の店長となる |
2012 | 27歳 | 第10期雀竜位、第7回オータムチャレンジカップ 優勝 |
2019 | 34歳 | 麻雀最強戦2019「全日本プロ代表」優勝 |
2021 | 36歳 | 麻雀最強戦2021「超技能バトル」優勝 |
2022 | 36歳 | 第29期發王位、U-NEXT Piratesからドラフト指名を受ける |
2023 | 37歳 | 第30期發王位を戴冠 |