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「努力が必ずしも報われない世界。それでも努力しなければ結果は絶対出ない」鈴木優の覚悟 Mリーガー列伝(37)

「努力が必ずしも報われない世界。それでも努力しなければ結果は絶対出ない」鈴木優の覚悟 Mリーガー列伝(37)

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「トップを取り切る力がある選手。確実にPiratesの力になってくれる」。2022年7月に行われたMリーグ2022-23ドラフト会議で、U-NEXT Pirates・木下尚監督は、鈴木優プロを指名した理由をそう語った。その期待に応えるべく、愛知県から単身赴任でMリーグに参戦。優プロがMリーガーとなるまでの軌跡を追う。

Mリーグへの熱き思い

 2021年11月、優プロは最高位戦日本プロ麻雀協会の頂点となる「最高位」のタイトルを獲得した。その優勝インタビューで「最高位戦は赤牌もオカ(※)もないルールなんですけど、僕は赤入り麻雀もとても自信がありますと言ったんですよね。人生で一番、Mリーガーになれる可能性があると感じたので」とMリーグに対する思いを告白していた。※オカ=いわゆるトップ賞のこと

愛知県からリーグ戦に通いながら、第46期最高位を獲得

 言葉を言霊(ことだま)にするべく「SNSの発信を増やし、ゲスト活動も積極的に行いました。スーツも新調し、ヒゲ脱毛にも行きました」とドラフト会議で声がかかることを目標とし、日々を積み重ねていった。

地方在住プロの希望の星

 最高位になった当時は、地元愛知県で家族4人、妻とふたりの娘さんと暮らしながら、東京本部で行われていたA1リーグに参戦していた。「地方にいても一生懸命取り組んでいけば、最高位になれたことは、地方で活動する後輩たちの希望になれたんじゃないかな」とはいえ、頂点にたどり着くまでには、かぎられた時間の過ごし方に、人知れず葛藤があった。

 「当時は麻雀店を経営していたので、きちんと利益を出さなければ生活が成り立たない。同時に自分も練習しなければ強くはなれない。A1リーグ参戦に加え、練習は私設リーグを中心に月7回。場所も名古屋だけでなく、東京、大阪、京都でも勉強会をやっていました。お店の経営、自分の練習、家庭のこと。子どもたちを育てていくためとはいえ、家族には寂しい思いをさせてしまっていた。そこが一番きつかったですね」と寝る間も惜しんですべてに真摯に向き合って来た。

 そして「努力すれば必ずしも結果が出るわけではない世界で、努力しなかったら結果が出るわけは絶対ない」と自分の信じた道を邁進した。

念願だった麻雀店をオープン

 2002年、20歳で最高位戦日本プロ麻雀協会にプロ入り。地元愛知県に麻雀店をオープンしたのは24歳の時だった。「小さいお店でしたが、愛着ある自分の城でした」と店舗経営に集中するため、同年に最高位戦を一度退会した。

 2008年にはアマチュアとして、麻雀最強戦に参戦。ファイナルまで残り、「最強戦の申し子」と言われたこともあった。

 2009年からは優プロを師と仰ぐ魚谷侑未プロ(セガサミーフェニックス)が、麻雀店で働き始めた。お互いに切磋琢磨する中で、優プロは2011年、9年ぶりに最高位戦に復帰した。

目標に邁進するための苦渋の決断

 オープンしてから16年間、お客さんに愛され続けてきた麻雀店だったが、ドラフト指名された2022年7月、閉店することを決断した。Mリーグに参戦するためには上京する必要があったためだ。

「麻雀店を経営していた時は固定収入で家族を養ってきたわけですが、Mリーガーになったら収入は契約次第。将来に対する不安はありましたが、自分がどこまでやれるか試してみたい気持ちが勝りました。何より、家族が後押ししてくれた。もしもドラフトで選ばれたら行ってきてね、1人でと言ってもらえたんで(笑)。お客さんやスタッフからも、お前が一番強いことを見せて来てくれと言葉をかけてもらえたことには、本当に感謝しています」

『炭焼きレストランさわやか』がお気に入り。「地元に帰ったら家族でハンバーグを食べに行きますね」

念願のMリーグに参戦して

 自身のMリーグ初陣は「自分らしくない麻雀だった」と振り返る。「これがチーム戦のプレッシャーなのか、負けたら自分だけのことじゃない」と試合中にチームメイトや監督の顔が浮かぶときもあった。

 しかし「この先5年後、10年後に自分がMリーグにいるのかはわからない。というかチームにいない可能性のほうが高い。であればいつかチームを去る時、もっと自分らしく打てたらと後悔を抱いて去るのか。自分らしく打てたけど腕が足りなかったなと思って去るのかでは、意味合いがまったく違う」と、磨き上げて来た自分の麻雀を貫くことこそ、チームのためになるはずだと腹をくくった。

「ユニフォームを着ると、U-NEXT Piratesの一員としてピリッとした気持ちになります」

試合前のルーティン

 Mリーグの試合前、優プロにはルーティンがある。「当日の試合前にサウナに行きます。岩盤浴で熱波を浴び、仮眠を取ってから対局スタジオに入っています」と試合に向けて自分のテンションを高め、集中力を持続させる準備をサウナで整えている。

Mリーグを通じて伝えたいこと

 “戦闘民族”というキャッチコピーは、団体の先輩でもある醍醐大プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会)がきっかけだったそうだ。「A1リーグに昇級したとき、いつも攻めている戦闘民族のようだと僕の麻雀を評してくれたことに由来します」

「チームメイトからも、よくあの牌が切れるねとか、押しすぎじゃないとか言われるんですけど、そのぐらい常に攻めている僕が引いた時、どんな理由で攻めなかったのかを観て頂けたらうれしいですね」と白い歯を見せた。

優プロにとって麻雀の魅力とは?

 『1秒で見抜く麻雀心理術』(竹書房)という著書を発売するほど、優プロは人間観察にも興味を持っている。「相手の仕草、目線、呼吸、テンションなどから得られた情報は、自分の打牌に活かしています。観察して、推理するのがおもしろいんですよね」

「どんなに努力しても、麻雀でトップ率100%は不可能かもしれませんが、100%に近づくための努力は続けていきたいです」と、その進化にゴールはない。

写真:麻雀ウォッチ インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

鈴木優(すずき・ゆう)プロフィール

生年月日:1981年9月13日
出身地:愛知県豊橋市生まれ
血液型:O型
所属団体:最高位戦日本プロ麻雀協会、U-NEXT Pirates
キャッチコピー:戦闘民族
主な獲得タイトル:第46期最高位、麻雀日本シリーズ2022ほか
趣味:お酒、カラオケ
勝負めし:とくになし
著書:『1秒で見抜く麻雀心理術』(竹書房)

鈴木優 年表
年齢 主な出来事
1981 1歳 愛知県豊橋市生まれる
1987 6歳 小学生時代はサッカー部に所属
1993 12歳 中学生時代はハンドボール部に所属
1999 18歳 高校卒業後、地元の大学に入学し経営学を学ぶ
2002 20歳 大学中退後、最高位戦日本プロ麻雀協会に入会
2006 24歳 最高位戦を一度大会、麻雀店「ばとるふぃ~るど」をオープン
2008 26歳 麻雀最強戦2008ファイナル進出
2011 29歳 最高位戦日本プロ麻雀協会に復帰
2012 30歳 麻雀最強戦2012「全日本プロ選手権」優勝
2016 34歳 最高位戦日本プロ麻雀協会・東海支部支部長となる
2021 40歳 第46期最高位を戴冠
2022 41歳 U-NEXT Piratesからドラフト1巡目指名
「ばとるふぃ~るど」閉店
麻雀日本シリーズ2022優勝

 

 

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