第四章 リーチ
(1)現代の麻雀戦術において、従来と大きく判断が変化したものの最たるものは、「リーチ」です。従来の戦術と一口にいっても、リーチ判断自体は結構打ち手次第で、言われているほど手役狙いの手変わりを重要視する打ち手ばかりというわけではありませんでしたが、「最終形はリーチ」「不十分な形でリーチをするのは特殊な場合に限る」という意識は多くの打ち手が抱えていたというのは確かなところです。
今でこそ、「先制テンパイしたらほとんどのケースで即リーチ有利」「先制リーチをしない方が特殊」という考え方が、ネット麻雀界ではかなり浸透していますが、先制リーチの有効性を提唱した「科学する麻雀」が発売されてからも、当初はなかなか受け入れられなかった(私自身、本の内容に半信半疑だった」と記憶しています。
受け入れられなかった理由として、「確率と体感」の違いという観点からは、「もっと勝つための現代麻雀技術論第3回」で見解を申し上げました。もう一つの理由として、当時は実力者の中であっても、「科学する麻雀」にあるような判断基準でリーチしている打ち手が、(「科学する麻雀の著者であるとつげき東北氏が主戦場としていた「東風荘」を除いては)ほとんど居なかったことが挙げられるでしょうか。
フーロの回で触れましたが、私は当時麻雀格闘倶楽部ユーザーで、フーロで早いアガリを目指すことの有効性については成績上位者の打ち筋から気付く事ができましたが、良形や役アリへの変化もそれなりにある、子の悪形リーチドラ1(親の場合は「牽制」という名目でリーチされる例もそれなりに見かけました)を即リーチする打ち手は上位者では稀で、むしろ初心者に多く見られたと記憶しています。
手順、フーロでも同様のことが言えますが、「いかにも初心者がやりそうな選択」が、実は判断としては正しかった。改めて、直感とヒューリスティックは、特に確率という人が正しく認識するのが難しい分野においてはあてにならないものであると痛感させられます。
本記事に関するご紹介
ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。